晩婚化が進む日本では、「育児」と「介護」が重なるケースが増えています。成長する子どもと老いていく親のことを思い、資金面に不安を感じる人も多いでしょう。今回は「ダブルケア」問題への対処方法を考えていきます。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

子育て世代を苦しめる「ダブルケア」問題

晩婚化と晩産化が進む現在の日本では、育児期にある方が同時に親の介護を担う「ダブルケア」問題が懸念されています。

 

厚生労働省のデータ(平成29年1月18日『平成 28 年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況』)によると、昭和50年には男性27.8歳、女性25.2歳だった平均婚姻年齢は、平成27年には男性33.3歳、女性31.1歳まで上昇しています。

 

また、同じく厚生労働省のデータ(平成30年「平成30年人口動態統計月報年計〈概数〉の概況」)によると、第1子出生時の母の平均年齢は、昭和50年に25.7歳だったものが、平成30年には30.7歳になっています。

 

さらに、介護に関する厚生労働省のデータ(平成28年「平成28年 国民生活基礎調査の概況」)を見てみると、平成28年の要介護者の年齢別割合は以下のようになっています。

 

●40~64歳:4.1%

●65~69歳:4.4%

●70~74歳:7.7%

●75~79歳:14.5%

●80~84歳:24.0%

●85歳以上:44.8%

 

なお、内閣府のデータ(平成28年4月「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」内閣府男女共同参画局)によると、ダブルケアを行う人の人口は約25万人(男性約8万人、女性約17万人)です。また、15歳以上に占めるダブルケアを行う人の割合は約0.2%、 育児を行う人に占める割合は約2.5% , 介護を行う人に占める割合は約4.5%となっています。

女性の就業に深刻な影響も…収入はどうする?

育児と介護を行うダブルケアは、その大変さから特に女性において就業に関する問題が深刻となっています。

 

上述した内閣府のダブルケアの調査によると、ダブルケアを行う人の就業状況では、女性のうち半数が仕事を持っており、そのうちの半分が「仕事が主」である状態となっています。また、男性については9割が仕事を持ち、また仕事が主である状態です。

 

同データに見られるように、ダブルケアを行う人の割合は、30歳~40歳代が男女ともに全体の約8割を占めることから考えると、特に女性についてはやや少ない状況にあると言えるでしょう。

 

(総務省統計局のデータ(平成31年2月1日「労働力調査(基本集計)平成30年(2018年)平均(速報)結果の要約」総務省統計局)によると、15歳以上64歳以下の女性の就業率は69.6%)

 

実際、ダブルケアを行う無職の女性の約6割が就業を希望していることがわかります。しかしその一方で、就業希望者のうち8割が非正規を希望しています。

 

当然のことですが、ダブルケアを行う人も収入が必要ですが、育児と介護をしながら正規の仕事に就くのは難しいということでしょう。

高齢者世帯でも、生活費は若手世代と同等レベル

ところで、ダブルケア世帯ではどのくらいの収入が必要になるのでしょうか。

 

まず、総務省統計局のデータによると(「家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表」総務省)有業者が1人の4人世帯(両親+子2人)の消費支出平均は327,129円となっています。

 

また、高齢者のいる世帯の支出(「家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表」総務省)を見てみると、高齢者のいる2人以上世帯(世帯人員平均2.6人)の平均支出は264,189円となっています。

 

なお、厚生労働省のデータ(平成31年1月18日「平成31年度の年金額改定についてお知らせします」厚生労働省)によると、平成31年度の「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額(厚生年金)」は221,504円で、むしろ高齢者世帯の支出より少なくなっていることがわかります。

 

若い世代と比較して、さまざまな活動が少ないと思われる高齢者世帯であっても、生活費が抑制されるわけではないのです。

 

現状では、子世帯(介護者のいる世帯)と親世帯(要介護者のいる世帯)と別サイフであったとしても、もし親が動けなくなれば、子世帯に細かい負担が積み重なるのは想像にかたくありません。

子育てと介護で妻が離職すれば、収入は厳しく…

仮にダブルケアを行う世帯で収入が足りていたとしても、それだけで済む問題ではありません。

 

先に取り挙げた内閣府のダブルケアに関するデータによると、ダブルケアに際して「業務量や労働時間を減らした」と回答した人は男性で約2割、女性で約4割となっています。また、無職となった人は男性で約2.6%、女性で約17.5%です。

 

当初は夫婦の収入で家計が成り立っていた家庭でも、妻が業務量を減らしたり、離職したりして収入が減れば、家計が苦しくなるケースは多いでしょう。

 

また、そもそも充分な収入があれば、子育てサービスや介護サービスを利用できるため、働く意欲のある妻を無理に辞めさせる必要はなくなるかもしれません。

給与以外の収入源として「不動産投資」を

晩婚化や晩産化と同時に高齢化も進展する日本では、今後、ダブルケアが必要な状況に置かれる人も増えてくるでしょう。とくに、夫や妻のいずれかが実家の近くに住んでいるなど、将来的にダブルケアに発展する可能性があるご家庭は、それを見越して何らかの収入を確保しておくことをおすすめします。

 

収入の種類としては、ダブルケア中は育児や介護に時間を取られることもあり、不労収入となるものを選ぶとよいでしょう。

 

おすすめなのは、管理委託費を支払うことで管理会社が物件を管理してくれ、オーナーは普段は何もしなくてもよい不動産投資です。

 

本業を持ちながら不動産投資に取り組む場合、仮に赤字になったとしても、給与所得から還付を受けられる損益通算など、サラリーマンにとってメリットが得られるのも特徴です。

 

とはいえ、利回りや立地など条件のよい不動産を取得できなければ大きな余裕を生みだしてくれるには至りません。

 

育児や介護に終われていない時期にこそしっかり勉強し、将来不労所得が得られる物件の獲得に向け、動き出しておくとよいでしょう。

 

晩婚化や晩産化、高齢者の増加は、今後の日本において確実に進行していきます。育児と介護を同時に行うダブルケアに対する備えも、今後はより一層重要になるでしょう。

 

育児と介護に忙しいダブルケアを支える収益を得るのにぴったりなのは不動産投資です。将来的にダブルケアに陥る可能性がある人も、今まさにダブルケアに直面している人も、早い段階で不動産投資について勉強し、将来の不労所得を生みだしてくれる物件の取得を目指すとよいでしょう。

 

 

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。