医学部受験の合格を左右する「予備校選び」。受験突破のために、有名な講師のいる大手予備校に行くべきか、専門講師のいる少人数制の医学部予備校に行くべきか、迷いどころです。もちろん、正解はありません。それぞれのメリット・デメリットを知り、合理的な選択をすることが大切です。医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』を運営する、医学部受験専門予備校メディカ代表・亀井孝祥氏が解説します。

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大手予備校は「自己奮起型」の人に向いている

受験勉強のために予備校へ通う場合、大学受験全般を担う大手の医学部進学コースに進むか、医学部受験に特化した専門予備校で学ぶか、大きくわけて2つの道があります。大手の医学部進学コースでは、100名を超える教室で、一斉に授業を受けることもあります。一方、後者は少数クラスや、それを補うマンツーマンでの指導が通常となります。

 

どちらが向いているのかは、受験生本人のみならず親も気になるところですが、こればかりは生徒の性格や講師との相性もあり、一概には判断できません。

 

生徒数が多いため、競争の激しい環境に奮起するタイプの受験生や、もともと成績上位の受験生なら、大手予備校でもやりがいを感じるはずです。お子様が大手予備校に通っていた方に話を聞くと、もともと自己肯定感が強く、周りが何も言わなくても自分に自信を持てる子だったといいます。厳しい態度が、かえって効果的になるタイプだったのでしょう。

 

しかしその一方で、大手予備校の教育スタイルを「厳しい」と感じている人がいることも確かです。

 

たとえば、初回の講義で開口一番、講師に「このなかで医学部に入れるのは半分もいないぞ」とハッパをかけられた、という話は少なくありません。さらには、模試の結果を挟んだ親子面談で、偏差値や判定結果をシビアに評価されることもあるようです。

 

ただ、これには大手予備校ならではの事情もあります。大手予備校は伝統もあり、その名声に伴った実績が裏付けされています。講師陣は、学歴も経歴も立派で、担当科目の指導力は高い方が多いです。個々のレベルが高いことは間違いありません。

 

しかし、講師が膨大な数の受験生をサポートするには限界があります。「受験生達を確実に志望校に合格させる」ことへのアプローチが、生活管理に及ばず「勉強」に特化するのはいたって当然のことです。模試の成績を見て「これならいける」「この数字では無理」と判断を下すので、評価コメントがシビアになりがちなのです。

 

上位陣の生徒をしっかり合格させていくことには関心が高いため、自分ではい上がる覚悟があり、常に厳しい競争を意識する環境に身を置きたい人には向いています。自己管理がしっかりしており、自分で自分を奮い立たせることができる受験生なら、有意義な場であることは間違いありません。

 

言い換えると、大手予備校は「落ちこぼれの生徒が指導によって偏差値を急上昇、見事逆転合格を勝ち取った」ということを希望しているのなら、少し厳しい環境であるといえるでしょう。不合格の繰り返しで自信をなくしてしまった受験生にとっては、見極めるポイントです。

 

大手か、少人数か?
大手か、少人数か?

「医学部専門予備校」は体調管理までカバーする

一方、医学部受験に特化した予備校は、少人数クラスやマンツーマンで親切に勉強を見る傾向が強く、受験に失敗をして自信をなくし、「勉強の仕方がわからなくなった」人には向いている環境といえます。もちろん専門予備校の講師陣も、学歴も経歴も立派で、医学部受験には高い指導力をもっています。個々のレベルが高いことは専門予備校の講師も同じです。

 

また講師との人間関係も濃くなりやすいので、勉強の進捗を気にしてもらえたり、分からない箇所を親身に教えてもらえたりすることも、もちろん期待できます。

 

講師のなかには、大学ごとの入試傾向をよく分析していて、オープンキャンパスにまで足繁く情報収集に出かけるような熱心なタイプもいます。また、1人ひとりに目が行き届いていることから、大手予備校では本人に任されがちな、体調管理やメンタルケアも手厚いです。

 

自習室を夜遅くまで空けている予備校は、生徒の勉強を支援している場に見えて、実は多浪生の巣窟になっていることがあります。浪人生の場合、勉強時間を自分のペースで確保した結果、段々と夜型の生活になってしまい、なかには午前中ほとんど寝ている、というリズムに陥りがちだからです。

 

これが良くない傾向であることは、いうまでもありませんよね。受験で結果を出すために勉強しているのですから、「夜が一番調子いい」では、何の意味もありません。

 

受験当日は、長い事前説明を経て、9時頃に始まるのが一般的です。このタイミングで頭脳がフル回転する習慣になっていないと、つまらないミスで不合格になってしまうリスクが高まります。

 

競争率数十倍が当たり前の医学部受験において、ボーダーライン上での1点差は、致命的です。だからこそ、万全の体制で臨むためには、日頃の生活習慣から修正していく必要があります。つまり、試験開始の3時間前、6時には起床して活動を開始する習慣を定着させていくことは勝利の条件の1つといえるのです。

 

勉強の仕方に自信が持てなかったり、生活リズムが乱れがちだったりなど、つい勉強以外のことに気が散りがちだったりするタイプは、講師の目が届く規模の予備校を選んだほうが、結果につながりやすいかもしれません。

 

「大手だから安心」「小規模だから大したことはない」といったイメージで予備校を選ぶのは禁物。特徴を見極めて、自分に合った予備校を選択することが重要なのです。

 

 

亀井 孝祥

医学部受験専門予備校メディカ 代表

 

本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。