人生の中では、住宅購入や子どもの進学など、さまざまなライフイベントがあり、それぞれに費用がかかります。今後さらに寿命が伸び、少子高齢化、人口減少による日本の社会保障費の増大などを考えると、今の高齢者以上に「老後資金」準備の自助努力が必要になります。今回は、老後に備えて今から「貯蓄体質」になるための家計の見直し方法等について解説します。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

まずはファイリングとアプリで1カ月の家計簿をつける

現在政府では、70歳、80歳まで働き続けるには? などといった話し合いをしていますが、やはり働き盛りの間にどれくらいお金を貯められるかが老後の安心につながります。そのためには、「自動的に貯蓄できるシステム」を作っておくと後が楽になります。「お金のこと考えないといけないけど、どこから手をつければいいのか分からない」「日々の生活に追われて、お金のこと考える余裕がない」という方は、ぜひこの機会に、1カ月間お金と向き合う時間を作ってみましょう!

 

「家計簿」はつけていますか? お金と向き合うための必須アイテムなので、つけていない人は面倒だと感じるかもしれませんが、簡単に取り組める方法をお伝えしますので、まずは1カ月間試してみてください。

 

方法その① レシートを集めてファイリング

買い物するたびにレシートをもらって、専用の箱やファイルにまとめていきます。レシートがもらえない場合は手書きメモでも構いませんので、用途と金額を書いておきましょう。通帳は記帳し、クレジットカードは明細を準備します。

 

1カ月後、上記の支出のデータを費目別に分別し、金額を集計します。費目は、例えば、食費、日用品費、水道光熱費、通信費、被服費、趣味娯楽費、交際費、子ども費、小遣い(子ども以外)、住居費、掛け捨て保険料、車費、医療費、貯蓄(解約返戻金が出る保険の保険料含む)などと分類します。

 

方法その② アプリで管理

レシートなどを写真に撮るだけで、設定した費目ごとに自動的に分別してくれるスマホアプリがあります。集計する手間がなく大変便利ですが、費目や金額の読み取りが間違っていることがありますので、注意してください。どちらの方法でも、毎月の支出の傾向を知るのが目的なので、その月だけの支払いがあれば、今回は計上から外します。

「これにこだわる代わりにあれをあきらめる」

家計簿をつける目的は、自分や家族が望むお金の使い方ができるようになることです。さっそく検証して改善ポイントを探しましょう。

 

チェックその① 赤字?黒字?

収入≧支出になっていますか?  貯蓄ができている場合は、収入に対してどれくらいの割合ですか?  毎月の支出をボーナスや貯金で補填、ということは止めましょう。

 

また、子どもが大学や専門学校などに進学する場合、その時期に一番お金がかかります。それまでは頑張って収入の20%を目安に貯蓄を確保したいものです。

 

チェックその② 費目ごとの収入に占める割合は?

自分や家族のライフスタイルに合ったお金の使い方になっていますか?  食、教育、マイホーム、ファッション、旅行など、人それぞれに支出するポイントは異なります。全てにこだわろうと思えば、それだけ収入が必要になるものです。

 

今回は支出に着目して、「これにこだわる代わりにあれをあきらめる」という選択や、お金を使う優先順位を決めてみてください。例えば、子どもの教育にお金をかけたいから、ブランド品購入や旅行は控える、といった感じです。

 

そのためにも、ぜひ家族全員で、これからのライフプランについて話し合う機会を作りましょう。

 

チェックその③買い物内容を見直そう!

買ったものが、必要なもの(消費)か、ただ欲しいもの(浪費)か、将来役立つもの(投資)か、レシート類を見直してみましょう。レジに行く前に、その買い物が三つのうちのどれか?  と考えるクセがつくと、無駄買いが減らせます。例えば、コンビニでコーヒーばかり買っている人は、自宅から持っていってはいかがでしょうか?

必要な資金ごとに投資する金融商品を変える

貯蓄体質になる簡単な方法は、生活費とそれ以外のお金を必ず分けて管理すること、また「給与天引き」や「口座天引き」を利用して、収入が入った段階で貯蓄してしまうことです。

 

現在の貯蓄、例えば1年定期預金(金利年0.01%とします)では、資産を2倍にするのに約7,200年かかると聞くといかがでしょうか?  お金を増やしたい!  と思っても、マイナス金利の日本では難しいのが現実です。

 

数年先に必要になるお金は、元本の安全性を重視して定期預金などで運用するしかありませんが、将来的に必要な資金であれば、「NISA(少額投資非課税制度)」「つみたてNISA」「確定拠出年金」など、節税できる国の資産形成制度が充実してきているので、利用してみましょう。

 

必要な資金ごとに投資する金融商品を変え、自動でお金が引き落とされるシステムで収入から貯蓄を確保し、残りを消費・投資・ちょっぴり浪費? に使えれば、老後も安心できますね!

 

 

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

TOPへ