先ごろ、「老後の資金は2000万円が必要」とする金融庁の資産形成を促す報告書が話題になりました。現役世代にとって、高齢化社会における資産形成はより差し迫った問題となっています。今回は、資産形成の選択肢として人気の「不動産投資」に向いているのはどのような人なのかを分析した記事を紹介します。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

不動産投資に「収入の多寡」はあまり関係がない

2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、都心部を中心に不動産の価格は上昇しており、大型のマンションも次々に建てられています。そうした好況に加え、公的年金への不信感も手伝ってか、将来への備えとして不動産投資を検討する人が増えています。

 

しかし、不動産投資は決して簡単なものではなく、誰もが成功するわけではありません。本記事では、不動産投資に向いているのはどのような人なのかをご紹介します。貯蓄や収入、子どもの有無、さらには性格まで、ご自身と照らし合わせてみてください。

 

不動産投資には、多額の資金が必要であるというイメージがあります。確かに不動産を購入する際に、ある程度の貯蓄があるに越したことはありません。しかし、たとえ貯蓄がない人でも不動産投資を始めることは可能です。なぜなら、不動産投資を行う際は、ローンを組んで行うことがほとんどだからです。

 

銀行でローンを組んで購入資金を借り、毎月の家賃収入から返済を行うのが不動産投資の一般的な手法です。その金利が高い場合は、返済の負担を考えると、ある程度の頭金が必要ですが、現在は史上空前の低金利時代といわれていますので、頭金に入れる貯蓄がなくても不動産投資を行うことが可能なのです。

 

不動産投資を行うにあたって、現状の収入の多寡は、あまり関係ありません。ローンを組んで不動産投資を行う場合には、その繰り上げ返済を行う際に収入が多いと有利になりますが、そもそも不動産投資では、家賃収入だけでしっかり収支が合うのかが重要なポイントです。もちろん、ローンを組むために最低限の収入は必要ですが、収入が少ないからといって、不動産投資を諦めることはありません。

 

不動産投資に、子どもがいる・いないも、ほとんど関係ありません。しかし、将来的なことを考えると子どもがいたほうが有利になるケースもあります。例えば仮に複数件の不動産を所有するようになり、投資の規模が大きくなった場合などです。

 

個人で不動産投資を行うよりも事業化した方が、税金の面で有利になります。不動産投資用の法人を設立することで、家賃収入をその会社に入れるような仕組みをつくります。その家賃収入を会社からの給料という形で受け取るのですが、子どもを会社の従業員にし、給与を支払うことで、所得分散の効果が望めます。

 

しかし、これは投資の規模を拡張し、さらに子どもが成長した際の話であって、不動産投資を始める時点では関係がありません。子どもの有無もあまり気にしないでいいといえるでしょう。

お金について興味を持ち、情報を収集し学んでいける人

「不動産投資に向いている性格なんてあるの?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、どんな投資にも性格によっての向き・不向きがあるといわれています。例えば、株式やFXのデイトレーダーは、損切りの決断が素早くできる性格の人に向いています。相場の状況によって瞬時の判断が求められるためです。では、不動産投資に向いているのは、どのような性格でしょうか。不動産投資に向いている性格には4つの傾向があります。

 

1つ目は、長いスパンで物事を考えられる人です。不動産投資で利益を得るには時間がかかります。ローンを払い終わった時点で、初めて家賃収入が利益になる場合もあるからです。短期で物事を判断するのではなく中長期で物事を考えられる人が不動産投資に向いています。

 

そして、2つ目は社交的な人です。不動産投資を行うには、様々な人と関わる必要があります。物件を購入するときはもちろん、不動産を購入した後も不動産の管理を管理会社に任せる場合は担当者との関わりがあり、個人で管理する場合であっても、入居している住人との関わりがあります。人付き合いが苦手という人よりも、社交的な人の方が向いているといえるでしょう。

 

3つ目は、自分の意思をはっきりと示すことができる人です。例えば、不動産会社が勧めてくる物件が気に入らない場合や、入居者から無理難題をいわれた場合に、毅然とした態度で「NO」といえる意思の強さが求められるのです。

 

最後に、4つ目はお金に興味がある人です。不動産投資を行う目的は、主に将来への備えのため、給与以外の収入源を得ることですが、収益を上げるためには、日々の勉強が必要不可欠です。不動産の市況をチェックし、税制についても理解しなければいけません。お金について興味を持ち、自ら情報を収集して学んでいける人です。

 

不動産投資に向いている人はどのような人なのかをご紹介してきました。性格的な向き、不向きは多少あるものの、貯蓄や収入の多寡、子どもの有無は不動産投資を検討する上で、あまり気にする必要はないようです。大切なのは、何のために不動産投資を行うのかを明確にし、良い物件を探し、見極めることです。

 

まずはインターネットや書籍で必要な知識を学び、信頼できるパートナー(不動産投資会社)を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。