インド発のユニコーン企業である「OYO(オヨ)」が、国内最大手のインターネット企業であるヤフー株式会社と合弁会社を設立し、日本の賃貸住宅事業に本格参入した。IT化が遅れる日本の賃貸住宅市場に対し、敷金や礼金、仲介手数料は無料、契約手続きはすべてスマートフォンで完結するという賃貸サービス「OYO LIFE(オヨ ライフ)」で、暮らし方に新たな価値を提案するという。本連載では、ユーザーだけでなく不動産オーナーにもメリットが大きい「OYO LIFE」の取り組みについて、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社CEOの勝瀬博則氏に話を伺った。

提供するのは「クオリティ・リビングスペース」

「OYO(オヨ)」という企業をご存じだろうか。2013年に創業したインド発のユニコーン企業であるOYOは、インドネシアや中国、イギリスなどを含む世界24ヵ国で本格的に活動。ITを活用した不動産経営でブランド展開を行うグローバル企業であり、時価総額は50億ドル(約5,500億円)と驚異的なスピードで成長を続けている。そんなOYOが、ヤフーと資本提携して日本国内で展開するのが、「旅するように暮らす」をコンセプトにライフスタイルを提案する新しい賃貸サービス「OYO LIFE」だ。

 

ITを活用し、スマートフォン一つで物件探しから契約に至るまで、一気通貫のサービスを提供。インターネットで宿泊予約をするように、簡単に部屋を借りることができる。すべての部屋は家具家電付きで、敷金と礼金はもちろん、仲介手数料まで0円というのが大きな特徴だ。

 

これらのサービスを可能にするのは、OYOが世界で展開するホテルブランドのノウハウによるものだと、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN 株式会社CEOの勝瀬博則氏はいう。

 

OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社CEO 勝瀬博則氏
OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社CEO 勝瀬博則氏

 「OYOをご存知の方は、ホテルの会社というイメージがあるかもしれませんが、OYO自身としては、クオリティ・リビングスペース、つまり品質のよい生活空間を提供する会社と位置付けています」(勝瀬氏)

 

OYO LIFEでは、クオリティ・リビングスペースを提供するための3つの基本的な要件を挙げている。

 

「1つ目は、物件のロケーション。街中に住みたい、会社の近くに住みたい、釣りが趣味であれば、よい釣りポイントの近くに住みたいなど、人によってよいロケーションというのは違います。しかしいずれにしても、『よいロケーション』という要素は一緒です。

 

2つ目は、デザインです。家の外観や間取り、設備や機能性などが魅力的でなければ、どんなによいロケーションであっても、快適な生活を送ることはできないでしょう。

 

3つ目は、魅力的な価格であること。どんなによいロケーションでよいデザインの物件でも、価格が高ければ住みたいとは思いません。つまり、クオリティ・リビングスペースは、この3つの要件を満たしていなければならないのです」(勝瀬氏)

 

これら3つの要件は、短期間だけ滞在するホテルでも、長期間住む賃貸住宅でも、本来変わらないものだ。つまりOYO LIFEは、これまでにOYOが世界中で培ってきたホテルや不動産経営のノウハウを活用することで、日本国内によいロケーションの快適な住環境をリーズナブルな価格で提供することをめざす企業なのだ。

 

「よいロケーション、よいデザイン、魅力的なコスト感。賃貸住宅で、これらのことを堪能している方は、世界中を見渡してもそれほど多くありません。3つの要素のどれか、あるいはすべてを満たしたいというニーズは必ずあります。OYO LIFEでは、3つの要件を満たしたクオリティ・リビングスペースの提供を実現していきたいと考えています」(勝瀬氏)

 

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一都三県に不動産を持つオーナー必見日本の賃貸経営を変える、ヤフーの合弁会社「OYO LIFE」の全貌と次世代の不動産管理術

 

激変したホテル予約…賃貸住宅サービスも変わるのか?

現在の日本は、音楽や映像などにおけるサブスクリプション型サービスへの移行に象徴されるように、個人の志向が「所有」から「利用」へと変化している。そしてコンテンツだけではなく、アパレルや車、家具など「モノ」についても「シェアリング」という考え方が受け入れられるようになり、カーシェアリングや、シェアオフィスなど、シェアリングエコノミーと呼ばれる新たな経済活動が拡大している。

 

さらに、インターネットにより大きく変わったことの一つが、「モノ」の購買プロセスである。かつて、服や靴は、実際に店舗に行き、試着をしてから買うのが当たり前で、それができないことから、インターネットで購入することは限定的になると思われていた。しかし今は自宅などからインターネットを介して購入することが、ごく普通の行動となっている。

 

「同じように購買プロセスが変わったものにホテルがあります。以前は旅行代理店に足を運び、パンフレットで写真や情報を確認し、予約金を払ってホテルを予約する必要がありました。現在はインターネット上に、ホテルの公式ホームページのほか、多くのホテル予約専門サイトがあり、それらを通じてホテルを予約することが当たり前になりました」(勝瀬氏)

 

しかし、いまだにインターネットでの購買(契約)が限定的なのが、賃貸住宅だ。

 

「インターネット上で物件の情報は得られるものの、実際に契約するには内見をしたり、住民票や印鑑証明、収入を証明する書類、連帯保証人の承諾書などを用意し、印鑑や書類を持って不動産会社に足を運び、契約をする必要があります。また、家賃が月額で例えば10万円の物件でも、入居時には初期費用で50万円程度が必要になるなど、時間や手間、費用がかかるのが一般的です」(勝瀬氏)

 

しかし、OYO LIFEが提供する物件では、敷金や礼金、仲介手数料の支払い、電気や水道といった公共料金の手続きも必要ない。入居時に紙の書面のやりとりが一切ないうえ、家賃などの支払いもスマートフォン上でクレジットカード決済をする。また、スマートフォンアプリでOYO LIFEが提供する物件を探して予約すれば最短翌日から入居でき、さらに部屋には家具・家電が付いて、Wi-Fiまで完備となっている。まさにスマートフォン一つで入居手続きが完結するのだ。

 

スマートフォンで入居手続きが完結するOYO LIFE ※試し住みは徐々に検証しながら年内に実施予定
スマートフォンで入居手続きが完結するOYO LIFE ※試し住みは徐々に検証しながら年内に実施予定

 

「夜でないと契約手続きができない、内見はしなくてよいなど、賃貸住宅に対する要望はじつは様々です。服や靴の購入など、変わらないと思われていたものが10年ほどでガラリと変わったように、いずれ賃貸住宅もインターネット経由で契約するのが当たり前になるでしょう」(勝瀬氏)

 

人口減少、空き家の増加……国内の賃貸住宅業界の先行きは、決して明るくはない。しかし今後、ホテル業界がそうだったように賃貸住宅業界のIT化が進めば、これまで以上に有望な市場になると勝瀬氏は語る。

 

現在16兆円マーケットといわれるeコマース。ここに12兆円の賃貸住宅市場が加わるとどうなるのか。その将来には大きな可能性が秘められている。

 

【OYO LIFEを動画で知る】

 

 

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取材・文/関根昭彦 撮影(人物)/関根明生
※本インタビューは、2019年4月17日に収録したものです。

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