賃貸経営において、経年劣化に伴う資産価値の低下は避けられないリスクである。そんな中、常識とは相反する「経年優化」という考えにこだわり支持されているのが、三井ホームの賃貸経営である。本連載では、三井ホーム株式会社コンサルティング事業部の島﨑康弘氏、伊藤哲雄氏、同社営業推進部賃貸・用地グループの依田明史氏にお話を伺い、長期的かつ安定的な賃貸住宅経営を実現する「経年優化」の考えを紐解いていく。第1回目のテーマは、「相続対策のための土地活用…本当にアパート経営は有効なのか?」である。

オーナーは共に事業を行う「パートナー」

三井ホーム株式会社 コンサルティング事業部 営業グループ兼特建グループ 営業グループ長
三井ホーム株式会社 コンサルティング事業部 営業グループ兼特建グループ 営業グループ長 島﨑康弘

やはり事業である以上、オーナー側のリスクがゼロになることはない。しかし、やり方によってはそのリスクを低減させることもできる。一番の肝になるのは、パートナーの存在だ。経営体質が強固かつ、エリアマーケティング力に優れた会社を選ぶことで、将来にわたって安定した収益を見込むことができる。

 

 

島﨑氏「空室による収益性低下を回避するためには、事前準備の段階でプロに相談し、市場調査によるニーズ分析を行うことが必須です。私たちもまずは徹底した市場調査を行い、オーナー様の事業目的やご意向をふまえながら勝算の高いご提案をいたします。市場調査の結果、アパート経営に不向きな立地とわかれば、保育園や福祉施設、駐車場など別のご提案をさせていただくこともあります」

 

一般的に、賃貸管理会社にとってオーナーは「お客さん」だ。そのため、オーナーは先々の見通しを含む経営のすべてを管理会社に依存しがちである。しかし、三井ホームグループのスタンスはあくまで「共同事業者」だという。十分な収益性が見込めなければ、パートナーとして歩むことはない。

 

三井ホーム株式会社 コンサルティング事業部 営業グループ長
三井ホーム株式会社 コンサルティング事業部 営業グループ長 伊藤哲雄

伊藤氏「我々はオーナー様から選ばれる立場ですが、我々としても、こんな方と組みたい、こうしたお客様のお手伝いをしたいといった思いはあります。また、立地についても都市部と郊外とでは状況が異なりますし、どこもかしこも30年一括借上げが可能なわけではありません。何でも無責任に請け負うのではなく、オーナー様それぞれの悩みに対して、最適だと思う解答をご提案します。たとえば、仮に郊外に500坪の土地があったとしても、立地的に賃貸住宅需要が見込めないケースもあるわけです。そうした場合には、その一部を売却して中心部の収益性の高い土地に買い替えていただき、そこでアパート経営を行うといった提案をする場合もあります」

 

裏を返せば、三井ホームのような会社がタッグを組むこと自体、「勝算あり」とのお墨付きを得るようなものだ。加えて、30年一括借上げを含む三井ホームグループの手厚いサポートのもと、アパート経営を行うことができる。

 

実際、三井ホームエステートが管理する賃貸物件の空室率は2017年時点で3%台と、全国平均を大きく下回っている。また、なかには築14年にも関わらず、賃料が上がったケースもあるという。これはやはり、オーナー自身の努力と三井ホームグループのサポート、マーケティング力の結実による成果といえそうだ。

 

賃貸経営は事業であり、成功は約束されたものではない。しかし、しっかりとした共同事業者に出会うことができたなら、「相続対策にアパート経営は有効」といっても過言ではないだろう。

 

 

取材・文/前田智行 撮影/押木良輔(人物)
※本インタビューは、2019年2月27日に収録したものです。