賃貸経営において、経年劣化に伴う資産価値の低下は避けられないリスクである。そんな中、常識とは相反する「経年優化」という考えにこだわり支持されているのが、三井ホームの賃貸経営である。本連載では、三井ホーム株式会社コンサルティング事業部の島﨑康弘氏、伊藤哲雄氏、同社営業推進部賃貸・用地グループの依田明史氏にお話を伺い、長期的かつ安定的な賃貸住宅経営を実現する「経年優化」の考えを紐解いていく。第1回目のテーマは、「相続対策のための土地活用…本当にアパート経営は有効なのか?」である。

賃貸アパートを建て、土地の「相続税評価額」を圧縮

以前から、相続対策の一環として賃貸用のアパートを建てるケースは多い。一方で、昨今はアパート経営にまつわる諸問題も浮上し、その有用性について懐疑的な見方が広がっているのも事実だろう。果たして、賃貸アパートの建設・経営は土地活用の方法として「アリ」なのだろうか? 

 

 

まず、相続対策としてなぜアパート建設が有効なのか、改めてその仕組みを理解しよう。

 

相続税の対象となる土地の評価額は、その利用状況に応じて異なる。賃貸住宅に活用する土地は「賃家建付地」として評価額より20%前後の減額、また、建物についても「借家権割合」により評価額より30%の減額が適用される。つまり、課税対象になる財産自体を圧縮できるのだ。

 

さらに、固定資産税、都市計画税の圧縮や、家賃収入により納税資金を確保できる利点もある。

 

 

取材・文/前田智行 撮影/押木良輔(人物)
※本インタビューは、2019年2月27日に収録したものです。