高額所得者の税対策としても有効な不動産投資。だが、「しっかり収益を上げられるか?」という視点が欠けているケースも散見され、「税金は減るけど、利益が出ないので資産が増えない」「次から次へと物件を買うので、借金がどんどん膨らんでしまう」といった悩みを抱えるオーナーも少なくない。本連載では、所得税や固定資産税などを差し引いた“手残りキャッシュフロー(税引き後キャッシュフロー)”を増やすために有効な「郊外の中古一棟不動産投資」のノウハウについて、コスモバンク株式会社の穴澤勇人代表取締役に解説していただく。最終回のテーマは、中古一棟不動産投資による「相続対策」である。

節税、資産運用、相続対策…どれを重視するのか?

わたしは、不動産投資はあくまでも「安定的な資産形成」のための手段にすぎないと思っています。「不動産を取得すること」自体が目的化してしまうと、むしろ資産形成に悪影響を及ぼすことになりかねません。

 

ですから、当社では物件を売る以前に、お客さまがどのようなライフプランやマネープランを実現したいのかという目的をしっかりとお聞きし、その実現のために必要な物件を提案するようにしています

 

コスモバンク株式会社 代表取締役・穴澤勇人氏
コスモバンク株式会社
代表取締役・穴澤勇人氏

所得税の納税負担を極力減らしたいというご要望であれば、なるべく建物比率を高くできるような物件を提案します。節税に重きを置くのか、それとも資産運用重視なのか、相続対策なのか。お客さまのご要望は十人十色です。その一方で、不動産ごとの特徴も千差万別なのですから、仕入れた物件をただ売ればいいというわけにはいきません。その人の本当のニーズを知ったうえで、それにふさわしい物件を提案することが第一なのです。

 

たとえばあるお客さまは、先祖代々の土地をどうやって活用すべきかというお悩みを抱えておられました。ある不動産業者から、更地になっていたその土地に「マンションを新築してはどうか?」と打診されたのだそうです。

 

問題は、相続が発生したときにその土地を3人の子どもたちがどうやって分けるのかということでした。一度マンションが建ってしまった土地は、簡単に分けることができません。土地を有効活用して資産を増やせるのはいいけれど、遺産分割をめぐって子どもたちが争うことだけは避けたい。

 

そこでご提案したのは、先祖代々の更地はそのまま残し、それとは別に3棟の中古一棟アパートを取得する方法でした。

 

何のゆかりもない土地に建つアパートであれば、3人の子どもたちに分け与えても、もめる心配はありません

 

しかも、先ほどの業者が提案した新築マンションは1棟4億円ですが、当社が見つけてきた中古アパートは1棟6,000万円、3棟でも1億8,000万円と半額以下です。その分、借り入れは少なく済みますし、収益力は新築マンションよりも高いので、非常に効率のよい投資だと言えるでしょう。投資によってキャッシュフローが積み上がれば、相続税の納税原資も確保できます。中古一棟不動産投資は、最強の相続対策と言えるかもしれません

 

このように、ニーズに合わせてさまざまな活用方法が考えられるのも、中古一棟不動産投資の大きな魅力だと思います。

 

中古物件であっても「融資が下りやすい」理由

お客さまからのご相談には、融資に関するものもあります。新築物件なら融資が付きやすいけれど、中古は難しいのではないかと思っている方が多いようです。

 

結論から言えば、決して難しくありません。なぜなら当社の場合、お客さまの6~7割はお医者さん、経営者、会社役員といった高額所得者であり、しかも必ず1~2割の頭金を入れていただくことを原則としているからです

 

投資用不動産向けの融資をめぐっては、不動産会社によるエビデンス偽装などの問題が次々と発覚し、金融機関が貸し出しに慎重になっていますが、当社は属性や資産状況がしっかりとしていて、十分な頭金を入れてくれるお客さまばかりなので、中古物件であっても融資が実行されないことは滅多にありません。

 

また、経営者や会社役員などのお客さまは、わたしたちのビジネスやサービスを高く評価していただき、仕事でお付き合いのある金融機関を紹介してくださることもあるので、当社がお客さまに紹介できる金融機関の数もどんどん増えています。ある意味での“エコシステム”のようなものが形成されているのです。

 

そもそも自己資金がまったくない人でもフルローンやオーバーローンが借りられる現在の状況は、かなり異常だと言えます。資産形成にはステップというものがあり、十分な資産を持たない人が、いきなり一棟ものの不動産を取得するというのは無謀以外の何ものでもありません。当社は、そうした投資家の方々にはまず十分な自己資金を蓄えることをお勧めしていますが、このように当たり前の対応をしていることも、金融機関から信頼されている理由のひとつだと言えます。

 

上記のような属性の方々にとっては、当社が提案する郊外の中古一棟不動産投資は、着実な資産形成のための最も有効なソリューションだといえるのです。

 

取材・文/渡辺賢一 撮影/永井浩(人物)
※本インタビューは、2019年2月12日に収録したものです。

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