高額所得者の税対策としても有効な不動産投資。だが、「しっかり収益を上げられるか?」という視点が欠けているケースも散見され、「税金は減るけど、利益が出ないので資産が増えない」「次から次へと物件を買うので、借金がどんどん膨らんでしまう」といった悩みを抱えるオーナーも少なくない。本連載では、所得税や固定資産税などを差し引いた“手残りキャッシュフロー(税引き後キャッシュフロー)”を増やすために有効な「郊外の中古一棟不動産投資」のノウハウについて、コスモバンク株式会社の穴澤勇人代表取締役に解説していただく。

節税とともに「手残りが最大化」できる中古一棟不動産

年収2,000万円以上の高額所得者にとって、多額の所得税を納めなければならないことは大きな悩みのタネではないでしょうか。わが国の税制では、年収1,800万円を超えると所得税率は33%から40%に跳ね上がります。何もしないと、年収2,000万円ならざっくりですが、800万円近いお金を国に納めなければなりません。もちろん、このほかに住民税もかかります。

 

納める税金を少しでも減らすために、不動産投資を始める人は少なくありません。投資用不動産を取得すれば、物件を取得するために借り入れたお金の利子や、建物の減価償却などを費用として計上することで所得を減らせます。これによって税率まで下がれば、数百万円単位の節税効果が期待できるからです。

 

しかし、実際に投資を始めた高額所得者の中には、節税効果は得られたものの、思ったほどの投資効果が得られないことに不満を抱いている方が少なくありません。

 

実際、ここ数年の不動産投資ブームとともに、都心では新築物件の供給が増え続け、利回りがどんどん低下しています。家賃収入から月々のローン返済や諸経費を差し引くと、マイナスになってしまうケースも決して珍しくない状況です。

 

収支がマイナスになれば、所得はさらに減って節税効果が高まるというロジックで新築物件の購入を勧める不動産業者もいますが、これは本末転倒だと思います。

 

なぜなら、投資は目先の節税だけでなく、中長期的な資産形成を目的とすべきものだからです。

 

私が代表を務めるコスモバンクは、目先の十分な節税効果が得られるだけでなく、投資による手残りを最大化することによって、安定的な資産形成も両立できる不動産投資を提案しています。ポイントとなるのは、不動産投資の入門書によく書かれているような「都心の新築物件」ではなく、「郊外の中古一棟物件」に投資する点です

 

なぜ、節税と安定的な資産形成を両立させるためには「郊外の中古一棟物件」が有利なのか? その理由について、これから詳しく説明します。

 

「駅から徒歩15分以上の物件」がむしろ狙い目⁉

当社が主に扱っているのは、東京と神奈川、千葉、埼玉の「一都三県」の郊外にある中古一棟もののアパート・マンションです。

 

いずれも都心の新築物件に比べて取得費用が非常に安く、表面利回りは年10%以上を実現しています。都心のマンションの多くは、物件価格の高騰によって表面利回りが年5%を下回っており、ローン返済や諸経費を差し引くとキャッシュフローがマイナスになってしまう物件も珍しくありませんが、利回りが高い当社の物件なら十分な手残りが得られます。

 

しかも、後述するように所得税や固定資産税などを差し引いた“税引き後キャッシュフロー”をしっかりと確保できるのが大きなポイントです。

 

だからと言って、利回りを上げるために高めの家賃を設定しているのではありません。

 

コスモバンク株式会社 代表取締役・穴澤勇人氏
コスモバンク株式会社
代表取締役・穴澤勇人氏

当社が販売するマンションの家賃はワンルームで月3万~4万円。なかには3万円を切っているものもあります。都心のワンルームは月7万~8万円が相場ですから、あまりの安さに驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

あえて安い家賃を設定しているのは、不動産投資では「賃料とリフォームのお得感」がすべてを決めるからです。どんなに表面利回りが高くても、入居者に「住みたい」と思ってもらえるような物件でなければ満室にすることはできません

 

新築や築浅の物件は、確かに住む人にとって気持ちよく、安心感もありますが、どうしても家賃が割高になります。不動産投資の入門書に書かれているような「駅近」の物件は、なおさら家賃が上がってしまいます。

 

その点、当社は「駅近」の物件にはあえてこだわらず、むしろ駅から徒歩15分以上の物件を中心に販売しています。駅からある程度離れた場所なら、ほかの新築物件との競争が少ないので、家賃を抑えることができます。

 

さらに、あまりお金をかけずポイントを押さえたリフォームを施すことによって、「安くてきれいな部屋」という価値を生み出すのです。実際、入居者に「駅近」が好まれたのはいまから10年前ぐらいまでの話で、最近は「多少駅から遠くても、安くてきれいな部屋に住みたい」というニーズが高まっています。実質賃金の減少などとともに、住む場所にあまりお金を掛けられなくなっていることの表れかもしれません。今後、家賃が高い「新築」や「駅近」の需要はますます減っていくことが考えられます。

 

入門書のセオリーとはまったく逆のトレンドが進行しているのが現状なのです。

 

取材・文/渡辺賢一 撮影/永井浩(人物)
※本インタビューは、2019年1月12日に収録したものです。