高額所得者の税対策としても有効な不動産投資。だが、「しっかり収益を上げられるか?」という視点が欠けているケースも散見され、「税金は減るけど、利益が出ないので資産が増えない」「次から次へと物件を買うので、借金がどんどん膨らんでしまう」といった悩みを抱えるオーナーも少なくない。本連載では、所得税や固定資産税などを差し引いた“手残りキャッシュフロー(税引き後キャッシュフロー)”を増やすために有効な「郊外の中古一棟不動産投資」のノウハウについて、コスモバンク株式会社の穴澤勇人代表取締役に解説していただく。第2回目のテーマは、新築不動産投資と比較した場合の「郊外中古一棟不動産」の優位性である。

「家賃とリフォームのお得感」を両立させる秘訣

前回お話ししたように、当社が提供する一都三県の郊外の中古一棟不動産は、月々の家賃が3万~4万円と非常に割安です。これは、物件取得価格が都心の新築物件に比べて格安であることに加え、ポイントを押さえたリフォームによって費用を抑えているからです。

 

家賃は「都心・新築」物件の半分前後なのに、年10%と倍以上の表面利回りを実現できている理由はここにあります。

 

ただし、不動産投資において肝心なのは利回りではありません。どんなに利回りが高くても、入居者がきちんと確保できなければキャッシュフローは得られないからです。

 

コスモバンク株式会社 代表取締役・穴澤勇人氏
コスモバンク株式会社
代表取締役・穴澤勇人氏

その点は、「家賃とリフォームのお得感」を両立させることで解決できます。郊外で駅から多少離れていたとしても、家賃が都心の半額程度なら、それだけでも十分魅力的です。さらに、デザインや設備に相応のグレード感があれば、「住みたい」と思ってくれる人は多いはず。そうしたポイントを押さえつつ、お金をかけるべきところと、かけないところのメリハリを利かせながら、最小投資で最大効果のリフォームを行っているのが、当社の物件の特徴なのです

 

たとえば、女性の入居者が部屋を見るときに気にするのは、何と言っても水回りです。中古物件のリフォーム時にクロスや床を張り替えるのは当たり前ですが、当社ではキッチンや洗面の水栓をちょっとおしゃれなものに変えるなど、女性の入居者に好まれやすい仕上げにしています。しかも、通常なら1つ7万円前後する水栓を、大量仕入れによって1万~2万円に下げるといったように、徹底したコストダウンを図っているのです。

 

お金をかければいいものができるのは言うまでもありませんが、それによって手残りが減ってしまっては意味がありません。かといって、まったく手を加えずに賃貸すると、物件の魅力がなくなるので入居付けが難しくなり、キャッシュフローが得られなくなります。

 

繰り返しになりますが、高い利回りと十分な手残りを実現するためには、お金の掛け方のメリハリがとても大切なのです

 

入居者ニーズは「都心・駅近」よりも「安さ」にシフト

当社では、一都三県の郊外にある中古一棟もの物件を取得し、上記のようなリフォームを施したうえで、まずは自社で運用します。運用過程で発生した問題点をひとつひとつ潰し、満室にしてからお客さまに販売するのです。

 

取得した物件を、そのまま右から左に流すようなことは一切いたしません。収益が確保しやすく、「出口」が来たときには、お客さまが売りやすい状態にしたうえで販売することに徹しています。この点が、ドクターや企業オーナー、会社役員など、多くの高額所得のお客さまから高い信頼をいただいている理由だと自負しています。

 

新築物件は、入居付けがしやすく、当面大規模修繕の必要がないので費用も抑えやすいといったメリットがあることから人気があるようですが、物件価格が高く、どうしても利回りが低くなってしまうのが大きなデメリットです。

 

しかも、人気の高さのせいで供給は過剰気味であり、流入人口が増え続けている都心でさえ、入居者の奪い合いは激しさを増しています。前回も述べたように、入居者の好みは「都心」「駅近」よりも、「安さ」と費用に見合った部屋の満足度にシフトしており、今後、賃貸物件のニーズは都心から郊外へと移っていくことでしょう

 

当社が提供する郊外の中古一棟不動産であれば、そうしたニーズに対応できますし、何と言っても新築物件に比べて格安で取得できます。

 

そのうえ、最初から入居者が確保されており、十分なリフォームが施されているので、多額の修繕費用が追加で発生するリスクもほとんどありません。買ったその月から安定的な家賃収入が得られ、十分な利回りも実現するわけです。

 

ちなみに当社は、リフォーム工事を外部委託することなく、社内に抱える100名の職人が工事を行っています。自社で中古物件の仕入れからリフォーム、販売までを行う不動産会社は、当社以外にはほとんどありません

 

工事を内製化することでリフォーム費用をさらに抑えられるだけでなく、社内の入居付け担当者との緊密な連携によって、「この物件には、こんな設備があれば満室にしやすい」という要望が反映しやすくなります。結果として、より安定的にキャッシュフローが確保しやすい物件に仕上がるのです。

 

以上が言うなれば、当社の「勝ち理論」になります。

 

取材・文/渡辺賢一 撮影/永井浩(人物)
※本インタビューは、2019年2月12日に収録したものです。