資産100億円を作るにはどうすればよいのか。本連載では、「賃貸経営」を中心に資産を形成していくための考え方やノウハウを、自らも900戸の大家である、ゴールドトラスト株式会社の取締役会長・久保川議道氏に伺う。第1回目のテーマは、なぜ「賃貸経営」なのかである。

「資産100億円は、だれでも作れる」

私は現在66歳ですが、初めて土地を買って賃貸経営を開始したのは、28歳のときです。それ以来、賃貸経営において多くの失敗と成功を繰り返し、現在では、

 

・個人での所有物件900戸(入居率99.6%)

・家賃収入7億円(年間)

・総資産120億円(うち借入残60億円)

 

を築くに至りました(会社経営による6000万円の給与などは含みません)。自分で言うのもなんですが、賃貸経営者としては、成功した部類と言ってよいでしょう。

 

その経験を元に、現在確信していることは、「資産100億円は、だれでも作れる」ということです。「資産100億円」というと、多くの方は「まさか!」と思われるかもしれません。しかしこれは冗談でもなんでもなく、私はいたって真面目に「資産100億円を作ることはだれでも実現可能」だと考えています。

 

ゴールドトラスト株式会社 取締役会長 久保川議道 氏
ゴールドトラスト株式会社
取締役会長 久保川議道 氏

父親は普通のサラリーマンで、地主ではありませんでした。私は24歳のときに独立して建設現場で肉体労働の職人仕事をし、文字通りの裸一貫から、ここまでのものを築いてきたのです。私ができたことですから、皆さんにも必ずできると信じています。

 

そして、資産100億円を実現するための考え方自体は、さほど難しくありませんし、もちろん法律的にグレーな行為をするわけでもありません。

 

ただし、時間はかかります。これから私がお話しする、正しい知識を理解でき、かつ長期間にわたってそれを実行して財産作りを続けられる実行力がある方のみが、資産100億円を築くことができるのだとも言えます。

 

その方法を簡単にいえば、アパート・マンション・サービス付き高齢者向け住宅などの「賃貸住宅経営」と、「8%複利での資産運用」を両輪として組み合わせて、時間をかけて資産を増やしていく方法です。

 

「高額所得者に厳しい」日本の税制の仕組み

ところで、ある程度の資産をお持ちの方や、フローでの高い所得を得ていらっしゃる方であれば、日本では高額所得者に対する税金が非常に高額であることは、すでに実感なさっていることでしょう。

 

まず、所得税+住民税は最高税率55%の累進課税、それに約10%の社会保険料と復興税2.1%が乗ってきます。4000万円の課税所得に対して、手もとに残るのはたった1400万円。この資金で資産を築いたとしても、さらにそこに相続税が最高55%かかります。また土地を所有しているだけで、固定資産税と都市計画税をあわせて土地評価額の1.7%が取られます(固都税)。1.7%ということは、60年間土地を持っていると、その土地がそっくり取られるのと同じだけの金額(1.7×60=102)を納税することになります。

 

さらに、不動産の短期譲渡所得課税(39%)、長期譲渡所得課税(20%)、利子所得課税(20%)など、いずれも海外ではほとんど見らません。こういった税制からわかることは、なにも税金対策を取らなければ、日本でお金持ちになって、資産を残すことは非常に難しいということです。

 

ところが、こんなに税金の高い日本でも、土地活用や賃貸経営に関しては、世界中に類を見ないほど注目すべき制度等があります。それは、住宅建設系の税制と、融資制度です。

 

具体的には、税制としては以下のようなものが挙げられます。

 

簡単に言えば、土地をそのまま持っておくのではなく、アパート・マンションを建てて賃貸経営をすれば固定資産税を1/6に安くしますよ、建物の減価償却で多額の節税ができますよということです。したがって、日本人が財産作りをするためには、賃貸経営をするしかありません。

 

海外であれば一生懸命働いて、高額所得者になればお金持ちになれます。しかし、日本では、普通に高額所得者になっても、税金がどんどん増えていくだけです。税金を増やさずに所得を増やして資産を作れるのは、賃貸経営だけなのです。

 

日本独自の有利な税制とは、具体的には以下のようなものです。

 

(1)建物を建てれば固定資産税が6分の1に

(2)建物評価額は建てた費用の2分の1

(3)相続時の土地評価額は借地権、借家権で85%

(4)相続時の建物評価額は固定資産評価の70%

(5)木造で築22年後の償却済み物件は、4年償却可能

(6)コンクリート造で47年償却済み物件は、9年償却可能

 

また、融資に関しては、住宅金融支援機構を利用することで、

 

(1)世界一低利の金利(0.8%~)

(2)15年または35年の長期固定金利

(3)保証人、別担保の設定なし

 

という融資が受けられます。

 

まず、これらの制度をフルに活用して賃貸経営を行っていきます。さらに、そうして得た資金を、海外の8%複利のファンドで運用をすることで、資産100億円が実現可能になるのです。

 

取材・文/椎原芳貴 撮影/石塚実貴 ※本インタビューは、2018年6月6日に収録したものです。

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