近年、富裕層の資産防衛手段として日本ではかなり浸透してきた「アンティークコイン投資」。国内の大手販売業者として知られる株式会社ユニバーサルコインズは2017年11月に香港法人を設立し、2018年2月から現地オフィスもオープンしている。なぜ香港なのか、そして改めてなぜアンティークコイン投資なのか、代表取締役の西村直樹氏にお話を伺った。第5回目は、アンティークコインの最新取引事情を取り上げる。

初心者にお勧めは500万~1000万円のコイン!?

前回までアンティークコイン投資の魅力や香港で取引することのメリットについて解説してきましたが、投資家として気になるのは、やはり「実際にどれだけ値上がりするのか?」「リスクはどの程度あるのか?」という点だと思います。


すでに述べたように、ユニバーサルコインでは「100年以上前に発行され、発行枚数が1万枚以下」のアンティークコインだけを取り扱っています。この基準を満たすコインは、希少性やグレード、市場における人気が最も高く、値上がりが十分に期待できるからです。


ユニバーサルコインでは、約20万種類あるアンティークコインの中から、基準を満たす約100種類に絞り込んで、販売と購入を行っています。約100種類の中には、第1回で紹介した「ウナとライオン」のように1枚数億円もするコインや、数百万円、数千万円で購入できるものもあります。

 

 

アンティークコインは、その購入価格帯によって値動きに大きな違いがあります。長期でじっくりと値を上げるのは数千万円から数億円のコイン。値動きが激しいのは100万円前後のコインです。なぜなら、数千万円以上のコインは出物が少ないので取引がそれほど多くありませんが、100万円のコインは出物が多く、頻繁に取引されるからです。

 

初心者の方には値動きが穏やかで、安定的な値上がりが期待できる500万円から1,000万円のコインをお勧めしています。この価格帯のコインは買い手が比較的見つかりやすく、換金しやすいのもメリットです。

 

ユニバーサルコインでは、約100種類に絞り込んだコインのすべてについて、過去20年間のオークションおよびインターネット取引による価格推移と、当社が設立された5年前からの店頭販売価格推移をデータ化しています。過去の実績から現在の適正価格を算出し、販売・購入を行っているのです。これはおそらく、日本のアンティークコイン取引業者では唯一の取り組みだと思います。

 

また、有料会員契約を結んだお客さまには、購入時までの価格推移データだけでなく、購入後のデータについても提供しています。通常は3~5年間保有し、20~30%値上がりしたところで売却することをお勧めしていますが、より高く売りたいというご希望があれば、それに見合った買い手が見つかるまで責任を持って仲介をいたします。

 

「ビットコイン」から「アンティークコイン」に換金!?

株式会社ユニバーサルコインズ
代表取締役 西村直樹氏
株式会社ユニバーサルコインズ
代表取締役 西村直樹氏

もうひとつ当社のユニークな点は、ビットコインでアンティークコインを購入できることです。仮想通貨交換業者の「bitFlyer(ビットフライヤー)」と提携して、2017年からビットコイン決済を始めました。


おかげさまで利用される方は少しずつ増えています。ビットコインで資産を大きく増やした方が、「より安定的な現物資産に換えたい」ということでアンティークコインを購入されているようです。

 

ご存じのように、ビットコインをはじめとする仮想通貨はここ数年、大きく値上がりしていますが、値動きが非常に激しく、持ち続けることにストレスや不安を感じている人も少なくありません。もっと値動きが穏やかで、着実に資産保全ができる投資対象に乗り換えたいという方が、ビットコインでアンティークコインを購入しておられるようです。

 

ただし、ビットコイン決済をすると、それまでのビットコインの値上がり益に対して総合課税されることになります。いくら納税しなければならないのかを把握してから決済することをお勧めします。

 

取材・文/渡辺賢一 撮影(人物)/永井浩
※本インタビューは、2018年5月10日に収録したものです。