「海外で現物資産を持ちたい」というニーズに対応
前回ご紹介したように、私たちが香港法人を設立したのは、中国の投資家がアンティークコインに興味を持ち始めたことも理由のひとつです。
ここ数年、絵画や彫刻、時計など、さまざまな美術品やアンティークの市場で存在感を高めてきた中国の方々なら、アンティークコインにも強い興味を示すに違いないと思ったからです。
しかし、香港に進出するそもそものきっかけとなったのは、日本のお客さまたちからのご相談でした。
私たちが東京・銀座に開いているアンティークコインショップ「ユニバーサルコイン」のお客さまは、会社経営者やお医者さんといった資産家の方が大部分です。そのなかには、日本だけでなく、海外に銀行口座や証券口座を開いて投資をしている方もいらっしゃいます。そうした方々から、「海外で預金や株を持つのもいいけれど、現物資産を持つことはできないだろうか?」というご相談を多数いただいておりました。
ユニバーサルコインでは、アンティークコインをただ販売するだけでなく、お売りしたコインを責任持って保管し、お客さまが売りたいと思ったときには買い取らせていただくサービスも提供しています。詳しくは後述しますが、保管、買い取りまで行っているアンティークコインショップは、日本では当社以外にはほとんどないと思います。
お客さまから見れば、証券会社で買った株を、そのまま証券会社に預け、値上がりしたら証券会社を通じて売却するというのと、まったく同じサービスを提供しているのです。
同様のサービスを海外でも提供すれば、お客さまは海外の銀行口座に預けているお金でアンティークコインを購入し、売却するまで海外に置いておくことができます。アンティークコインという現物資産を持つことで、預金や株といったペーパーアセットだけを保有するリスクを分散できるわけです。
香港で買って、日本に持ち帰っても消費税が割安に!?
そこで私たちが注目したのが香港でした。香港は、何といっても東京から飛行機で4~5時間と近い場所にあるので、日本のお客さまに足を運んでいただくのも容易です。
しかも香港でアンティークコインを購入すると、税制上の大きなメリットが得られます。日本でアンティークコインを購入すると、価格の8%の消費税がかかりますが、香港には消費税がないので、その分割安に購入できるのです。
1枚1,000万円のアンティークコインなら、日本で購入すると消費税込みで1,080万円ですが、香港なら1,000万円で買えます。そのまま香港に置いておけば、消費税は一切かかりません。値上がり益を期待して購入するのなら、なるべく安い価格で取得したほうがおトクですから、日本よりも香港で買うのが断然有利であると言えそうです。
香港で購入したコインを日本に持ち帰った場合は、当然ながら消費税がかかります。
ただし、その場合の課税価格は購入価格の60%になります。1,000万円のコインであれば、1,000万円×0.6に消費税率(8%)を掛けたものが消費税額となります。つまり、日本で買った場合は80万円となる消費税が、48万円まで減額されるのです。
日本に持ち帰るにしても、香港で買ったほうが税制上有利であるということが、よくおわかりいただけるのではないでしょうか。
また香港には、日本と違ってキャピタルゲイン課税というものがありません。香港でアンティークコインを購入して、値上がりした後に売却しても、税金は一切かかりません。
ただし、この恩恵が受けられるのは香港在住の方のみです。日本在住の方は、日本にコインを持ち帰って売却した場合はもちろん、香港で売却した場合でも、日本の税制に基づいて総合課税されてしまいます。
キャピタルゲイン非課税の恩恵を受けるため、香港に住所を移してしまうという方法も考えられますが、その場合は税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。
税金の話のついでに、アンティークコイン投資にかかる費用について簡単に説明しておきましょう。
ユニバーサルコインの場合、販売手数料は価格に含まれており、価格の約10%です。また、お客さまが売却するコインの買い取り手数料は価格の5.4%です。
このほか、お客さまに売却したコインをお預かりするサービスも提供していますが、こちらは何年預けていただいても無料です。もちろん保険をしっかりと掛けて、責任を持ってお預かりしますので、お客さまがご自身で金庫を用意したり、貸金庫を利用したりする費用と手間は掛かりません。