18~19世紀発行のイギリスの記念金貨が一番人気
骨董収集に興味をお持ちの方や、資産家の方なら、「アンティークコイン」という言葉を一度や二度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
明確な定義は定まっていませんが、一般には100年以上前に発行されたコイン(金貨・銀貨など)のことを指し、現在、全世界に20万種類ほど存在するといわれています。
その中でも200~300種類のコインにはとても高い価値が付いており、デザインや歴史の重みなど、さまざまな側面から世界中の多くのコレクターたちを魅了し続けています。
とくに人気が高いのは、18世紀~19世紀に発行されたイギリスの記念金貨です。
たとえば1839年に発行された「“ウナとライオン”5ポンドプルーフ金貨」は、表面にヴィクトリア女王の横顔、裏面には「ウナ」がライオンを従えた立ち姿が刻み込まれ、風格と優雅を兼ね備えた美しさを持っています。当時、世界一のデザイナーと言われたウィリアム・ワイオンが彫刻したもので、「世界一美しい金貨」とされています。
この「ウナとライオン」は、世界中のコレクターたちにとって、喉から手が出るほど欲しい逸品中の逸品です。しかし、そう簡単には手に入りません。なぜなら、発行枚数はたったの400枚だからです。
大英帝国時代18世紀のイギリスでは、ヴィクトリア女王だけでなく、映画『英国王のスピーチ』のモデルとなったジョージ6世など、歴代の王が王位を継承するたびに記念コインを発行しました。熱心なコレクターたちは、それをすべて揃えることに情熱を傾けており、何としても手に入れたいと思っています。
しかし、世界中に約300万人ものコレクターがいるのに、「ウナとライオン」はたった400枚しかありません。しかも、すでに持っている人たちは、どんなにお金を積まれても簡単には手放しません。それを持つことがお金には換えられないステータスとなるからです。その結果、現在「ウナとライオン」には、数億円もの価値がついています。
アンティークコインには、「ウナとライオン」のように数億円もするものから、数百万円、数千万円のものなど、さまざまな種類があります。
日本の投資家には、ワンルームマンション投資と同じ感覚で買える500万~1,000万円前後のコインの人気が高いようです。
中国の投資家が「魅力」に気づいたら・・・
アンティークコインは、希少性やステータスがあり、人気が高いものほど、値段が上がりやすい傾向があります。
発行枚数が限定された記念コインは、この先、数が増えることは絶対にありません。一方でコレクターの数が増えていけば、おのずと需要が供給を大きく上回って、価値が上がり続けることになります。これがアンティークコイン投資の最大の魅力です。
じつは最近、中国人の投資家たちが、このアンティークコイン投資の魅力に気づき始めています。
ここ数年、世界中のオークション会場で、中国の投資家たちが絵画や彫刻、骨董品などを次々と高値で競り落としているのが話題となっています。その結果、さまざまなアンティーク品の相場が2倍、3倍に跳ね上がりました。それとまったく同じことが、アンティークコインの世界でも始まろうとしているのです。
私たちは、東京・銀座でアンティークコインの販売を行っていますが、そうした中国の投資家の動きなども一つの材料として、2017年11月に香港法人を設立し、2018年2月から現地オフィスをオープンしました。
香港にはアンティークコイン鑑定会社のアジア拠点が多数進出しています。そのため、アンティークコインに関する最新情報が集まりやすいというのが、香港法人を構えた大きなのひとつです。また今後、中国の投資家が増えることが予想される以上、中国の方々がアクセスしやすい香港に店を構えることで、アンティークコインの魅力をもっと知っていただき、取引していただきたいという狙いもあります。
もちろん、中国のお客さまだけでなく、日本のお客さまにもぜひ香港支店をご利用いただきたいと思っています。
なぜなら、香港でアンティークコインを購入すると、日本で買うよりも税制面で非常に有利だからです。次回は、その理由について詳しく説明します。