近年、富裕層の資産防衛手段として日本ではかなり浸透してきた「アンティークコイン投資」。国内の大手販売業者として知られる株式会社ユニバーサルコインズは2017年11月に香港法人を設立し、2018年2月から現地オフィスもオープンしている。なぜ香港なのか、そして改めてなぜアンティークコイン投資なのか、代表取締役の西村直樹氏にお話を伺った。第4回目は、中国人富裕層の動向がアンティークコインの価格に与える影響について解説する。

世界中どこでも「換金可能」なアンティークコイン

いま、世界には約300万人のアンティークコインのコレクターがいますが、その大部分は欧米の人々です。日本ではここ数年、富裕層を中心にアンティークコイン投資の魅力が知られるようになり、コレクターの数も少しずつ増えてきました。しかし、アンティークコイン投資で圧倒的な歴史を誇る欧米と比べると、その数は比較になりません。

 

その日本よりも、さらにコレクターの数が少ないのが中国です。なぜなら中国人のコレクターたちは、これまで自国のアンティークコインばかりを売買してきたからです。

 

4000年の歴史を誇る中国では、紀元前から国内各地でさまざまなコインが発行されてきました。中国のアンティークコインは非常に種類が豊富で、希少性や芸術性の高いものもたくさんあります。そうしたコインが国内で簡単に手に入るのですから、海外のアンティークコインに対する関心が薄かったのも無理はありません。

 

 

しかし、海外へ移住する中国人の富裕層が増えるにつれ、中国以外のアンティークコインに興味を示す人が少しずつ多くなってきました。中国のアンティークコインは、残念ながら中国でしか売れません。中国以外の国や地域では、ほとんど換金できないのです。


そこで、世界中どこでも換金できる中国以外のアンティークコインが次第に注目されるようになりました。ユニバーサルコイン銀座店にも、日本在住の中国人の方々がアンティークコインをお買い求めにいらっしゃいます。これからもっと多くの中国人投資家が、アンティークコインに興味を持つようになることは間違いありません。日本のお客さまに税制上有利な取引の場を提供するだけでなく、中国の投資家にアンティークコインの魅力を知っていただき、活発な取引を促すことを目的として、私たちは2018年2月に現地オフィスをオープンしました。

 

ユニバーサルコイン香港店
(Bank of America Tower内)
ユニバーサルコイン香港店(Bank of America Tower内)

中国人に人気の投資商品は値上がりが期待できる!?

中国では、投資ブームにいったん火がつくと、たちまち相場が急上昇する傾向があります。株などの金融商品だけでなく、美術品や時計、ワインなど、これまで人気になった投資商品は、価格が一気に2倍、3倍に跳ね上がるということが珍しくありませんでした。中国でアンティークコイン投資ブームが巻き起きれば、それとまったく同じことが再現されるのではないかと見ています。


いまはまだひと握りの人たちしか注目していませんが、前回紹介したようなアンティークコイン投資の魅力を多くの中国人投資家が認識し、市場参加者が増えれば、どこかの時点で価格が大きく跳ね上がる可能性があります。

 

言い換えれば、中国でブームになる前のいまこそが、購入のチャンスと言えるかもしれません。その場合、日本よりも香港で買っておいたほうが、中国人投資家に売却できるチャンスは大きくなるはずです。

 

 

いまだに中国本土と分離され、社会主義国のなかで資本主義が認められた特別な地域であるとはいえ、香港はれっきとした中国の一部です。飛行機はもちろん、鉄道やバスでも簡単にアクセスできるので、香港には毎日大勢の中国人観光客が押し寄せています。不動産や貴金属、骨董品などを投資目的で購入するために香港にやってくる人も少なくありません。仮に、中国でアンティークコイン投資ブームが巻き起これば、投資家の多くは出物が豊富で取引も活発な香港にやって来るはずです。


お客さまが購入されたアンティークコインをそのまま香港店が管理していれば、現地のお客さまから「こんなコインはないか?」と照会を受けたときに、すぐに仲介することも可能となります。

 

不動産もそうですが、アンティークコインのように高額な現物資産は、買い手と売り手のマッチングが難しく、売りたいと思ってもなかなか売れないものです。その点、香港であれば、希望する売却価格を受け入れてくれる買い手がより簡単に見つかるようになるでしょう。

 

「出口戦略」を確かなものにするためにも、香港は絶好の場所と言えるわけです。

取材・文/渡辺賢一
※本インタビューは、2018年5月10日に収録したものです。