新千歳空港ターミナル

都心部を中心に投資用不動産の利回りが低下している。インカムゲイン狙いの投資先として地方物件も浮かび上がる中、「北海道不動産」が密かに注目を集めている。本連載では、北海道の地元プロとして物件事情を知り尽くしたパーフェクトパートナー株式会社代表取締役・末岡由紀氏が、「北海道不動産」の魅力と投資のポイントについて徹底解説する。第4回目のテーマは「北海道」の物件で勝つためのファイナンス戦略である。

低くなりがちな銀行評価の問題をクリアするには・・・

前回までの説明で、北海道不動産の表面利回りの高さや、より高い利回りを求めるなら、札幌よりも近郊都市の物件が狙い目である、といった基本はご理解いただけたと思います。札幌への通勤圏である北広島や恵庭、千歳などの投資用不動産は、表面利回りが札幌の中心部に比べて1~2%ほど高く、過当競争が起こっていないので空室率は低めです。リスクを極力抑えつつ、より大きなインカムを得たいのなら、札幌近郊がお勧めです。

 

ただし、ここで問題となるのがファイナンスです。札幌の中心部の物件なら、融資を受けるのは比較的簡単です。担保価値が下がりにくく、収入も安定しやすいと思われているので、メガバンクなどがお金を貸してくれるからです。

 

しかし、近郊の物件となると、銀行の評価はどうしても下がってしまいます。メガバンクで貸してくれるところはほとんどありません。投資用不動産への融資に積極的な地方銀行でも、札幌以外の北海道の物件となると、二の足を踏む銀行が多いのではないでしょうか。

 

したがって、北海道不動産に投資する場合、

 

①利回りが相対的に低く、空室率も高まりやすいが、融資を受けやすい札幌の物件を取得するか、

 

②利回りは高く、空室率も低いが、融資を受けにくい札幌以外の物件を取得するか、

 

という二者択一を迫られることになります。


十分な自己資金をお持ちでない方は、融資を受けないことには物件を取得できないので、①以外に選択の余地はないと思われるようです。もちろん、それでも都心の物件に比べれば十分なインカムは期待できますが、狙えるのなら、より大きなインカムを狙いたいところです。

 

パーフェクトパートナー株式会社代表取締役末岡 由紀 氏
パーフェクトパートナー株式会社
代表取締役
末岡 由紀 氏

そこで大切になるのが、不動産会社選びです。道内に拠点を構え、札幌以外の都市でも投資用不動産販売の十分な実績を持っている不動産会社なら、融資を受けやすいはずです。実際、わたしが代表を務める不動産会社は、札幌以外の物件についても、複数の地銀などからの融資をお客さまにアレンジしています。

 

北海道の投資用不動産販売で10年近い歴史を持っているのが当社の強みのひとつです。恵庭(えにわ)や旭川、釧路、ニセコ・倶知安(くっちゃん)などにも拠点を構え、札幌以外の投資用不動産についても豊富な販売実績があります。しかも、販売した物件の入居率は90%以上と、ほぼ“満室”を実現しているので、銀行の審査が通りやすいのです。

 

北海道不動産でより大きな利益を得るためには、銀行との付き合いがよく、融資を受けやすい不動産会社を選ぶことが非常に重要です。

 

「北海道不動産」のリアル収益シミュレーションの例

では、北海道の投資用不動産なら、実際にどれだけの収益を得られるのでしょうか。
当社が販売した物件の実績を2例紹介します。

 

年間70万円の粗利が期待できる
年間70万円の粗利が期待できる

ひとつ目は、札幌市東区の新築1棟売りアパートです。RC造の4階建て16戸で、地下鉄駅から600メートルと比較的近く、生活や交通はかなり便利です。価格は1億3,300万円(建物消費税込み、以下同)。そのうち9割が建物の価格ですから、同じような物件を東京で買えば、確実に2億円を超えるはずです。

 

満室時の想定年収は1,111万2,000円。物件価格が安いので、表面利回りは年8.4%とかなりの高水準です。全額自己資金で取得すれば、およそ10年で投資を回収できます。頭金を1割入れ、1億2,000万円を35年返済で借り入れた場合、金利は年0.8%、年間の返済額は約393万2,000円となります。

 

イールドギャップは7.6%(8.4%-0.8%)と高水準ですし、満室時の想定年収から年間返済額を差し引くと年間70万円の粗利が出る計算です。諸経費や税などを差し引いても、相当額のキャッシュが期待できるでしょう。

 

もうひとつは、札幌近郊の江別市に建設した新築1棟売りアパートです。木造2階建て8戸で、価格は4,900万円。札幌より地価が安く、木造のため5,000万円を切る価格を実現しています。ちなみに江別は札幌のすぐ東隣にある市で、江別駅から札幌駅まではJRで約26分。この物件は江別駅から徒歩6分と“駅近”なので、札幌に通勤するビジネスマンなどの需要が期待できます。満室時の想定年収は451万2,000円、表面利回りは9.2%です。

 

この物件のオーナーは、頭金を1割入れて、地方銀行から4,110万円を借り入れました。借り入れ金利は当初3年固定の1.5%で、年間返済額は約182万6,000円です。当初3年のイールドギャップは7.7%(9.2%-1.5%)、年間の粗利は約269万円と、かなりの高収益を実現しています。

北海道でも「駅近」は人気物件になる
北海道でも「駅近」は人気物件になる

 

取材・文/渡辺 賢一 撮影/永井 浩 
※本インタビューは、2018年4月10日に収録したものです。