ザ・タワー芝浦(JR山手線 田町駅 徒歩9分 築11年)

人口減少に伴う空室率の上昇、金融機関による不動産向け融資の引き締めなど、国内不動産の先行きに不安を抱く投資家も少なくないが、戦略・実践次第では、まだまだ安定的な収益や節税効果が期待できる。本企画では、未曾有の低金利時代だからこそ実行可能な、「借入」を駆使し、効率性に優れた「国内不動産レバレッジ投資」のポイントを、株式会社エストアンドカンパニー 執行役員 櫻井祐輔氏に解説していただく。第3回目は、ファイナンスを活用したレバレッジ不動産投資の勝ち方についてお話を伺った。

投資効率を最優先するなら「フルローンの融資」⁉

――エストアンドカンパニーはファイナンス面でのサポートに定評があると伺っていますが、フルローンの融資を推奨されているそうですね。物件価格の1~2割は頭金を入れたほうがいいなどと聞きますが、フルローンだと月々の返済額も大きくなってしまいます。リスクはないのですか?

 

櫻井 エリアや物件の状態によっては、確かに頭金を出したほうがいいものもあります。しかし、基本的に当社が紹介する物件に関しては、条件が整っているものばかりなので、フルローンであってもリスクは少ない。もし余剰金があるのであれば、少しでも自己資金を入れて返済額を抑え、早期完済を目指すのがセオリーですが、これもお客様お一人お一人の考えによっても異なります。

 

――家賃収入と返済額が一定で、最終的にローンを完済したときに物件が自分のものであれば、それはそれでいいんだという考え方ですね。

 

櫻井 不動産投資のゴールをどこに置くかによって投資方法は異なります。融資を活用してレバレッジを効かせられるのが、他の投資にはない不動産投資の唯一無二のメリットでもありますので、レバレッジの効果を最大限に求めるのなら、可能な限り自己資金は使わない。時間を武器にするということです。資金に余裕があれば頭金や繰り上げ返済に回したり、何かあったときのために手元にプールしておくというのも良いと思います。

 

――「何かあったとき」というのは、どのような不測の事態でしょうか?

 

櫻井 1棟ものの物件に特に言えるのですが、10~15年ごとに行われる大規模修繕のために自己資金を蓄えておくのもさることながら、建物が突然損傷して修繕が必要になってくる場合もあります。そんなとき、手元に資金がないと迅速に対応できない。不動産オーナーは不測の事態が起こったとき、入居者に対して「待ってください」とは言えないんです。万が一に備えるためにも、ある程度の資金の余裕は必要。その上で、さらに余裕があれば、繰り上げ返済などに回せばいいんです。

 

長期的なリスクとして金利上昇は存在するが・・・

――毎月の返済でカツカツであるようでは厳しいですからね。フルローンがおりやすい属性みたいなものはありますか?

 

株式会社エストアンドカンパニー
執行役員
櫻井 祐輔 氏
株式会社エストアンドカンパニー
執行役員 櫻井祐輔 氏

櫻井 区分と1棟ものとでは、また事情が少し異なってきます。区分であれば、当社が紹介している物件だと、属性に関係なくフルローンは可能でしょうね。ただ、融資額に上限があって、年収の10倍位が一つの目安。もちろん仕事をしているのが前提で、自営業よりも勤め人の方がローンはおりやすい。仮に返済できなくなっても融資額が低い上、当社が扱う区分物件は東京23区内のものなので売却もしやすく、銀行も容易に回収できます。

 

また、区分向けのフルローンは住宅ローンに近いローンなので、団体信用生命保険(団信)が付随してきます。その意味では区分向けのフルローンは返済の不安も少なく、団信は保険代わりにもなるので、初心者にとってはハードルがそれほど高くないと言えます。

 

――1棟もの向けのフルローンはどうでしょうか?

 

櫻井 区分が住宅ローンに近いローンに対して1棟ものは事業性の高いローンとなり、融資額も億単位になることもあるため、ハードルは区分に比べると高いです。その為、物件の担保評価はもちろんのこと年収や資産背景まで細かくみられます。どちらかというと所得の高い方や資産が潤沢な方向けで、20代のサラリーマンの方々にとっては、ハードルが高いローンかもしれません。

 

――収入的には、どれぐらいが目安になりますか?

 

櫻井 一棟ものは、年収1,000万円が1つのボーダーと考えています。年収が1,000万円あると、投資手法もさまざまなバリエーションが出てきます。逆にそれ以下だと、やれることが限られてしまうので、最初は区分をお勧めしています。例えば少しずつその区分を増やし、ファイナンスアレンジをしながら、1棟ものへと進めていく戦略も選択肢のひとつかもしれません。

 

――不動産投資が活況を呈しているのは、低金利で融資を受けられることが最大の要因です。フルローンを最大限に活用できるのも、低金利であるがゆえです。しかし、この超低金利がいつまでも続くとは限りません。金利のリスクについてはどのように考えたらいいのでしょうか。

 

櫻井 不動産ローンといえば、かつては大方が変動金利だったのですが、現在は2年固定から20年固定といった固定金利のローンも増えているので、仮に金利が上がったとしてもすぐに返済負担が増す心配はありません。その意味では、金利が今後上がるかもしれない(※)という局面で、低金利の今のうちに固定で借りて不動産投資を始めようという人も増えているほど。

 

金融機関では半年に一度、金利を見直していますが、そもそも金利が上がったとしても、元本と利息の割合を調整する形で対応しているので、金利上昇イコール返済額の負担増というわけではありません。

 

※長期的なリスクとして金利上昇は存在するが、金利が上がれば物価も上昇し、家賃の値上げも見込める。さらに不動産の資産価値も上がり、売却の際にキャピタルゲインが得られたりする可能性もある。

 

取材・文/牧 隆文 撮影/永井 浩(人物)
※本インタビューは、2018年2月5日に収録したものです。

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