パレステュディオ銀座二丁目(東京メトロ日比谷線 東銀座駅 徒歩3分 築13年)

人口減少に伴う空室率の上昇、金融機関による不動産向け融資の引き締めなど、国内不動産の先行きに不安を抱く投資家も少なくないが、戦略・実践次第では、まだまだ安定的な収益や節税効果が期待できる。本企画では、未曾有の低金利時代だからこそ実行可能な、「借入」を駆使し、効率性に優れた「国内不動産レバレッジ投資」のポイントを、株式会社エストアンドカンパニー 執行役員 櫻井祐輔氏に解説していただく。第2回目は、同社の「投資家目線のシミュレーション」についてお話を伺った。

「資金状況」や「目的」に合わせた最適な提案を

――エストアンドカンパニーが標榜している「業界初のIRIAコンサルティング」とは、どのようなことなのでしょうか?

 

櫻井 端的に言えば、“物件ありき”ではないということです。不動産投資を通して、お客様が何をされたいのか。それに対して、自己資金やリスクの許容度、収入、資産等を把握させていただいた上で、最適なプランや物件、融資条件を紹介するというのが、当社のビジネスモデルです。

 

――他社との具体的な違いは?

 

株式会社エストアンドカンパニー
執行役員
櫻井 祐輔
株式会社エストアンドカンパニー
執行役員 櫻井祐輔 氏

櫻井 同業他社の多くは新築、中古に限らず在庫を抱えていて、これらをとにかく売るというのがビジネスモデル。税務関係のアドバイスを行ったりするのも、物件を売らんがための“こじつけ”のようなものです。本当の意味で、お客様の要望に応えたサービスとは言い難い。特に、大手のデベロッパーなどは自社開発の物件なので、在庫をさばくためにお客様のニーズを度外視して売るわけです。

 

しかし、独立的な立場からお客様に不動産投資のアドバイスを行っているのが、当社のIRIAコンサルティングです。特定の業者や取引形態の枠にとらわれずに、お客様の資金状況や目的に合わせた最適な提案を行っています。従って、当社では新築物件は扱っていません。自社で開発をしてしまうと、優先順位として自社の物件を優先させ、お客様のニーズを無視した提案になってしまうからです。

 

――投資家のニーズはどのようなものが多いのですか?

 

櫻井 たとえば年配の方ですと、ある程度まとまった退職金があって、それを運用したいというケース。ご自身の人生もあと30年ぐらいだから、家賃収入で暮らしていくために収益性の高い物件が欲しい、ということですね。富裕層の方で一番多いのは税金対策です。また、サラリーマンの方で多いのは、将来の安定収入が目的だったりします。最近は目先のキャッシュフローをできるだけ多く取りたいという方もいらっしゃいますが、利回りの高い物件は、リスクも高いので、細かく掘り下げてリスクをご説明すると、手堅い投資のほうがいいかなと、心変わりをされる方もいらっしゃいます。

 

「不動産投資をやらない」という選択肢も

――いきなりおススメ物件を紹介したりするのではなく、まずは地道なカウンセリングやコンサルティングを行うわけですね。

 

櫻井 不動産投資情報のポータルサイトなど、物件の情報だけは溢れていますが、利回りなどの数字だけを見て判断してしまうと上手くいくはずがありません。その物件が利回りの数字通りのパフォーマンスが可能なのか、目的や目標に対してどれぐらいリスクが取れるのか、また、物件購入後にかかる修繕などのコストは賄えるのか、そうしたところまで突き詰めて試算しないと、金額が大きいので失敗したときの代償が大きい。

 

――不動産投資は長期なので、不確定要素も多いですからね。そのあたりについては、どのような想定をされているのですか?

 

櫻井 現在は入居率が100%でも、10年後、家賃収入と入居率が80%位に落ちたときをシミュレーションして、お客様の投資目的や資金状況、リスク許容度にマッチした物件のみを厳選してご紹介しています。現在と同じ入居者が10年間ずっと更新し続けるのが理想的ですし、あり得ない話ではないですが、そんな根拠のないポジティブなシミュレーションをしても仕方がありません。できるだけネガティブなシミュレーションをして、最悪の場合どうなるかを把握した上で、効率的な投資を行うのが理想的です。

 

――そこまで緻密にやってしまうと、不動産投資をやらないほうがいいという選択肢も出てくるのでは?

 

櫻井 ケースによっては、そのような場合も当然あります。しかし、ファイナンスに関してはご相談の上、できるだけお客さまのご要望に応えたいと考えております。

 

――エストアンドカンパニーが紹介する投資不動産は一般に流通していない物件が多いそうですが、実際、どのような物件を扱っているのですか?

 

櫻井 区分マンションは東京23区内、1棟ものは1都3県の物件です。いずれも中古のRCのみです。区分マンションに関しては、ファイナンスの関係上で自社やグループ会社の売主物件を直接紹介したり、仲介も行います。1棟ものに関しては仲介のみ。お客様へのサービスを第一に考え、大きな在庫を抱えないよう運営しています。

 

――首都圏の物件のみということですが、やはり地方の物件に投資するのはダメですか?

 

櫻井 地方で成功されている方もいらっしゃるので、一概にダメとは言えません。地方の物件は価格が安いため利回りが高く、回収も早いというメリットがあります。しかし、1~2年で家賃によるキャッシュフローが得られるという点だけ見るとよさそうですが、長期に渡る不動産投資を考えローンを組んだ際に、その間安定的にキャッシュフローを得られるかというと疑問が残ります。

 

――空室率や物件の経年劣化、修繕コストなどの問題がありますからね。

 

櫻井 たとえば東京と福岡の物件を比べた場合、建物の規模が同じであれば、修繕のコスト自体は大して変わりません。しかし、福岡の家賃は東京の3分の1程度。であれば、地方の物件は修繕コストの割にリターンが少ないということになります。やはり長期的な安定収入という点では、首都圏の物件に分があるのではないでしょうか。

 

地方の物件は価格が安いというメリットもあるが…
地方の物件は価格が安いというメリットもあるが…

取材・文/牧 隆文 撮影/永井 浩(人物)
※本インタビューは、2018年2月5日に収録したものです。