資金提供が受けられず「貧困が再生産」する現実・・・
9%を超える高い予定利回りを提示し、かつ社会的な意義が高い。私も商品作りに関わってきたおすすめファンドが、「カメルーン農業支援ファンド」です。
カメルーンのカカオ豆農家は、国際的なサプライチェーンの中で、極めて低い収益率を強いられています。現地の大手卸売業者の中には、この状況を改善するためにさまざまな取り組みを行っているところもありますが、カメルーン農業支援ファンドは、こうした業者への資金提供を目的としています。
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カメルーンは正式名称をカメルーン共和国といい、アフリカ中部で赤道より少し北にあり、大西洋に面していますが、多くの日本人にとってほとんど馴染みのない国だと思います。同国の面積は日本の1.23倍ほどで、人口は2300万人。そして、1人あたりGDPは世界で157位の1238ドル(2016年 IMF統計)という貧しい国です。
他の多くの貧困国と同様、カメルーンでも金融機関にアクセスできる中小企業者はわずかで、ほとんどの事業者が金融機関からの資金提供を受けることができません。それが貧困を再生産し、近年ではテロ組織のリクルーティング活動などにまで繋がっているのが現状です。ソーシャルレンディングは、こうした現状を変えていく力にもなります。
クラウドクレジットでは、カメルーンで中小企業への資金提供を行っているOvamba社と提携しています。そして、現地の中小企業の資金需要に応えることにより、経済成長をサポートしたいとの意図で「カメルーン中小企業支援プロジェクト」を販売してきました。こちらはすでに償還実績もあり、現在19号までの販売を行っています。そのOvamba社とのパートナーシップを組んで新たに取り組むのが、「カメルーン農業支援ファンド」です。
カメルーンの主要な産業は、カカオ豆の栽培・輸出です。栽培・収穫されたカカオ豆を農家から購入して加工し、輸出業者に向けて販売するD社が、このファンドの最終資金需要者(借り手)になります。D社は、カメルーン国内の多くのカカオ豆農家と独占売買契約を締結している国内大手の卸売業者です。
D社は、日本円で年商100億円にも上る国内大手企業であり、資金があればさらなる業容拡大が可能であるにもかかわらず、同国の金融供給能力の不足により、銀行からは数億円程度の融資しか受けることができていません。そこで、Ovamba社を通じてD社への資金供給を行うことが、当ファンドの目的となります。
期待利回りはユーロ建てで9.4%
このファンドをおすすめするポイントは2点あります。1つ目は、D社が、「カメルーン中小企業支援プロジェクト」により資金提供している中小事業者と比べれば、格段に高い財務健全性と信用性を持つことです。そのため、期待利回りは前者より若干低くなりますが、それでも、ユーロ建てで9.4%(カメルーン農業支援ファンド2号)を提示しています。
なお、D社への資金提供の方法として、Ovamba社ではトレードファイナンス(売戻条件付売買契約)を用いています。これは実際には融資ではなく、実物資産(カカオ豆)を買い上げて、必要に応じて資金と引き換えに売り戻すという契約です。現地では一般的に普及している方法ですが、実物資産の裏打ちがあるため、より安全性の高い資金提供の方法となっています。
児童労働、インフラ整備など生活問題を改善する糸口に
当ファンドをおすすめする2つ目のポイントは、高い社会的意義を持つことです。カカオ豆は最終的にはチョコレートなどの製品となって先進国で消費されるのですが、その国際的なサプライチェーンの中で、生産国現地に落とされる利益は、全体のわずか6.6%しかないのが現状です。そのため、現地では低賃金の労働力として、児童労働が広く行われているといった問題が指摘されているのです。
このような現状を改善するため、D社は今回の資金を用いて、取り扱い量を拡大し、穀物メジャーに対する価格交渉力を高めることを目指しています。また、サプライチェーン下流までの事業拡大や、そのための工場の新設、工場周辺での学校や水道など社会インフラの整備なども行う予定です。
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このような施策を通じて、現地住民への資金環流が行われれば、同国の中長期的な経済成長をドライブさせる源泉ともなります。ちなみに、カメルーンはフランス植民地であったことから、現地通貨CFAフランが、ユーロにペッグ(固定)されています。そのため、エマージングカントリーによく見られる通貨の切り下げリスクが、緩和されていることもおすすめのポイントとなります(突然ペッグが外される可能性もゼロではありません)。
今後の高い経済成長が見込まれるフロンティア市場への投資であり、かつ社会的な意義も高い、それが「カメルーン農業支援ファンド」です。