「築41年の物件」で家賃を上げても高い入居率を維持!
――4,000棟以上ある貴社のマンションの中で最も古い物件だと、築何年ぐらいなのですか?
黒木 大阪の豊中市にある築41年の賃貸マンションです。店舗6戸、2DK48戸、3DK6戸からなる、地上7階建ての鉄筋コンクリート造です。契約当時の1974年はオイルショックの年で、それまでの高度成長期が終わり、先行き不透明な不況の時代を迎えようとしていました。そんなこともあり、オーナー様は将来に備えた資産形成の手段として、マンション経営を始められたわけです。
――築41年ともなると、大規模な改修工事も実施されたんでしょうね。
黒木 14年目、24年目、36年目に行いました。1回の費用はそれぞれ2,800万円でしたが、当初から修繕費を積み立てていたので改修計画もスムーズに進みました。また、外観だけでなく、20年目からは洗面所や浴室などの水回り、和室やキッチンの内装もリフォームしました。1戸当たり120万円のコストがかかりましたが、家賃が10万円だとしたら1年で回収できますからね。
――41年経っても高い入居率を維持したまま、家賃も当初設定した金額よりも上昇して予想外の収益を得たそうですが、成功の秘訣は何だったのでしょうか?
黒木 タイミングよく改修工事やリフォームが行われたことで、物件の価値を維持できたことです。古い物件はどうしても時代にそぐわない面が出てきます。それを放置していると、あっという間に入居者がいなくなってしまうし、いざいなくなってから改修しても手遅れ。そうなる前の早い段階で、オーナー様に改修の提案をしたことが奏功しました。
――建物の価値を下げないためには、小まめなメンテナンスに尽きるということですね。
井本 お客様の中にはより当社の実態を知ろうと、あえて新しい物件ではなく古い物件をご覧になられる方もいらっしゃいます。東京で一番古いのは築33年の物件で、台東区や墨田区などの城東エリアに立地することが多いのですが、しっかりメンテナンスが施されているため、お客様に「そんなに古いの!?」と驚かれたりすることもあるんです。そして、それがキッカケで成約に結びついたこともありましたからね。
最優先すべきは「エンドユーザー目線」
――長きにわたって収益を生み出し続ける物件であるためには、何が必要なのでしょうか?
井本 設備の陳腐化を防ぐために、当社ではお客様への提案書を年度ごとに見直しています。また、前述したように、リフォームやリニューアルは早めに行うことです。ただ、大規模修繕の費用などは積み立てていただけるのですが、リフォーム費用などはなかなかご理解していただけない部分もまだございます。しかし、改修しないと物件の価値がどんどん下がって、そのままだと最終的に入居者が付かないことにもなりかねないわけです。
――修繕と違って、改修しなくても住めないわけではないので、新たな支出には少し抵抗があるのでしょうね。あと、入居者の募集で、特に気をつけている点などはありますか?
黒木 当社の物件の入居者募集はグループ会社の髙松エステートが行いますが、オーナー様には「お宅は審査が厳しいね」とよく言われます。普通の不動産管理会社だと、とりあえず入居者を付ければいいというスタンスかもしれませんが、いい方に入居していただくとマンション内の雰囲気も良くなり、住みやすさにもつながりますので、そこはあえて厳選しています。
――家賃の滞納リスクについては、どのように考えたらいいでしょうか?
黒木 当社の物件の8割は法人契約です。企業が社員のために部屋を借り上げているので、実際に家賃を払うのは個人ではなく企業。従って、滞納リスクというのは、実はほとんどないんです。
――そう考えると、髙松建設のマンションはローリスク・ハイリターンの理想的な収益物件だと言えそうです。
井本 当社の社員は、周囲の物件に入居者が入らなくなっても、髙松の物件だけには必ず入るというスタンスで仕事をしています。しかし、当社の営業マンやオーナー様がいくらいいと思った物件でも、自身が住むわけではないのだから、結局は自己満足に過ぎません。物件が収益を生み出すためには、住んでいただく人の意見を最も参考にすべき。エンドユーザー目線の物件こそが、長期間にわたって収益を生み出し続けるのだと思います。