阪神・淡路大震災で1棟も倒壊しなかった「耐震性能」
――「コンサルタント×コンストラクト×サポート」のうち、どんなにコンサルタントとサポートが優れていようとも、やはり建築会社であるからには本業の「コンストラクト」が一番大事であることは言うまでもありません。
黒木 阪神・淡路大震災が発生した当時、震度6~7の激震区域に当社の建築物が108棟ありましたが、1棟の全壊・半壊もなかったという事実は、当社の技術力の高さを如実に表すエピソードですね。震災後はさらに耐震性能を追求して、当社の建物は、建築基準法で定められている耐震性能を15%も上回る厳しい基準で設計施工されているんです。
――具体的には、一般的な建築物と何が違うのでしょうか?
黒木 最も顕著な違いは柱の中の鉄筋構造です。当社では、主筋本数や帯筋本数など、さまざまな独自の基準を設け、鉄筋量が増え、その結果より強固な柱としています。さらに主筋を巻く帯筋の継ぎ目を溶接することで、コンクリートを強く拘束し、大地震により強い建物としているんです。
――コンクリートにも特徴があるそうですね。
黒木 コンクリートは強アルカリ性ですが、空気に触れることによって中性化が進み、コンクリートがひび割れや剥離するなど劣化を起こしてしまうんです。劣化は防げませんが、その進行を遅らせることは可能です。コンクリートを構成するセメントの比率を高く、水の比率を低くすることで劣化を抑制することができます。水の比率を下げるとコンクリートの流れが悪くなり、施工はしづらくなりますが、水分が抜けることによって、コンクリート内に発生する空隙やひび割れが抑えられるため、劣化スピードを抑えることができるんです。
――さすがに技術的な話になると難しくて、ちょっとピンと来ない感じです(笑)。
井本 こういうのは、実際に現物を見るのが一番わかりやすいですよね。当社では、東京本店と大阪本店にショールーム「ドリームプラザ・夢工房」が併設されており、そこで耐震・免震構造の模型、耐震補強現物など、当社が誇る設計力や施工力を体感できる展示が行われています。当社の営業マンがお客様をよくご案内していますよ。こうしたショールームはハウスメーカーには多くありますが、当社のような建設会社には珍しいと思います。
強みとなる「技術系出身の営業マン」の存在
――ここまでお話を伺ってきた中で、貴社の営業担当の方々は大変だなと改めて感じます。コンサルタント営業を行っているだけに、経営や税などに関する提案をすれば、ショールームでは顧客に技術的な説明もする。本当に、広範な知識が求められますね。
黒木 そうですね。当社では、営業マンが多岐にわたる項目で計画的に勉強しています。そういう意味では大変ですが、研修制度は非常に充実していると思います。それと、当社の営業の特徴としては、技術系出身の営業マンが相当数いること。
これは、他社ではあまりないことかもしれません。他社だと営業マンの採用は、営業経験者だけを対象にして募集をかけますが、当社ではいわゆる文系の純粋な営業マンの他、技術系出身の営業マンが多数在籍しています。
井本 今でこそ、私も黒木もスーツ姿で営業に携わっていますが、もともと2人とも工事部出身で作業着にヘルメットを被って建設現場で仕事をしていましたからね。工事部で何年か経験した後、営業部に配属されるというパターンが結構あります。現場のことがわかっていれば、お客様へのご説明にも深みや厚みも出ますからね。
文系の営業マンも専門的なことは技術系出身の営業マンに聞けばすぐにわかるし、お客様に対して技術的な説明が必要であれば彼らを連れて行けばいい。そばで彼らの説明を聞いているだけでも参考になりますよ。