安定収入源の確保や相続対策のために重用される土地活用。賃貸物件の経営が一般的だが、高い空室率で苦しんでいるオーナーも少なくない。そんな中、C&Cカンパニー(Consultant Construct Company)を掲げる髙松建設では、高い施工技術に裏打ちされた「確かな物件」を提供することで、後々まで稼動が落ちない「安定した賃貸経営」の実現を後押ししている。この10月に創業100周年を迎えた同社の取り組みについて、常務執行役員の井本清司氏と黒木惠二氏が解説する本企画。第2回は、髙松建設がグループ一丸となって収益物件オーナーをサポートする、「コンサルタント×コンストラクト×サポート」についてお話を伺った。

「ただ建物を建てるだけ」の会社ではない

――貴社が標榜されている「コンサルタント×コンストラクト×サポート」について教えてください。

 

髙松建設株式会社 東京本店
取締役 常務執行役員 井本 清司 氏
髙松建設株式会社 東京本店
取締役 常務執行役員 井本 清司 氏

井本 まず、単にお客様のニーズに応えるだけでなく、お客様の抱える悩み事や問題点を解決するような建築プランを提案します。そして、建物を建てた場合にかかる費用と収入、借入した場合の返済計画など、具体的な事業収支計画を作成します。

 

もちろん収支計画も数字に根拠がなくては画餅に過ぎませんから、設定する家賃にしても物件と同じようなエリア、間取り、構造など、類似物件の賃料をマーケッティングリサーチして決めています。さらにサンプルとして新築物件だけでなく、築5~10年の物件も勘案しているので、より妥当性のある相場観と言えるでしょう。これらが「コンサルタント」の部分ですね。

 

――「コンストラクト」は文字通り、建築会社としての本業ですね。

 

黒木 ただし、当社はただ建物を建てるだけの会社ではないということです。まず前提としてお客様が抱える問題点があって、それを解決するための最終ゴールが物件を建てるということなんです。

 

お客様は法律上や税金上のさまざまな“しがらみ”を抱えていらっしゃいます。顧問弁護士や税理士といった専門家の手を借りながら、そうしたしがらみを解決すべく、いろんな提案をさせていただくわけです。だから、物件を建てる前段階であるコンサルの部分には、時間と経費を相当かけています。

 

――物件の建築に取りかかかるまでに、長いプロセスがあるわけですね。

 

井本 非効率なようですが、お客様の満足度が非常に高いので、1棟建てたら2棟目、3棟目も髙松建設で、といった具合にリピーターになっていただくお客様が多数いらっしゃいます。また、新規のお客様をご紹介いただくようなケースもありますね。

 

――最後の「サポート」とは、いわゆる不動産管理会社が行うような仕事ですね。

 

黒木 そうです。多くの建築会社では物件を建てたらおしまいですが、当社では髙松エステートや髙松テクノサービスなどのグループ会社が入居者の募集や建物の維持管理・メンテナンスを行っています。グループ会社とは密に連携しており、不動産管理を担当しているからといって、グループ会社が当社の同意なしで物件の家賃を勝手に下げたりするようなことはできません。

 

なぜなら、家賃は当社がお客様に提案した収支計画に基づいて決められたものなので、安易に下げてもらってはお客様に約束した収益を保証できなくなってしまうからです。つまり建物がある限り、髙松建設を中心にお客様をサポートしていくということ。髙松グループ一丸による「コンサルタント×コンストラクト×サポート」の三位一体の取り組みが、当社の強みと言えるでしょう。

 

無料で提供している「簡易耐震診断」から分かること

――一口に土地活用といっても、どのようなものが多いのですか?

 

井本 都心部では、既存建物の建て替えが多いですね。新耐震基準が導入された1981年6月以前の物件がまだまだ多くあるので、この需要を掘り起こすようなコンサルタント営業を行っています。

 

旧耐震基準の建物は建て替え促進のために容積率が緩和されているので、たとえば5階建てだったマンションも建て替えによって10階建てにすることができるわけです。そうなると、単純に家賃収入は倍になりますからね。安全面でも収益面でも、お客様へ提案する余地は十分あります。

 

髙松建設株式会社 千葉支店
常務執行役員 支店長 黒木 惠二 氏
髙松建設株式会社 千葉支店
常務執行役員 支店長 黒木 惠二 氏

黒木 当社では、簡易耐震診断を無料で行っています。まず建物の設計図から簡易的に診断して、より詳細な診断や耐震補強工事の計画策定の支援を行います。さらに費用対効果や事業計画によっては、建て替えたほうがメリットがあると見込まれる場合は、建て替えの提案も行っています。

 

――やはり震災絡みのニーズというのは根強いようですね。

 

井本 「緊急輸送道路」に面した古い建物の場合、建て替えの際に補助金が出るので、よりメリットのあるご提案ができます。緊急輸送道路とは、地震などの大規模災害から救助活動や物資などの緊急輸送を円滑に行うための道路なのですが、道路に面して古い建物が建っていると倒壊して道が塞がれてしまい、救助活動に支障を来たすため、新耐震基準への建て替えが急がれているんです。実際、阪神淡路大震災ではそうしたことが起こりましたからね。

 

取材・文/牧 隆文 撮影/永井 浩(人物)
※本インタビューは、2017年10月12日に収録したものです。