今回は、生命保険の「非課税枠」を活用して節税効果を得る方法を見ていきます。※本連載では、税理士法人チェスター監修、株式会社エッサム編集協力、円満相続を応援する税理士の会著、『相続税の疑問がすっきり! わかる本』(あさ出版)から一部を抜粋し、不動産オーナーのための「相続税の節税」に関する基礎知識を解説します。

遺産分割協議の対象外、遺留分の考慮も不要

人が亡くなったとき、その人が生命保険に加入していれば、死亡保険金が支払われます。

 

この保険金については、遺族感情や生活保障などを考慮して、次のように非課税枠が設定されています。

 

生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数

 

たとえば父親が亡くなり、法定相続人が妻と2人の子ども(合計3人)の場合は、500万円×3人=1500万円です。死亡保険金が1500万円以下であれば、税金は課せられません。

 

[図表] 保険金への課税はこうなる

例えば契約者が父(被相続人)、被保険者が父、受取人が長女・次女の契約形態ならば、保険金は「みなし相続財産」となり、他の相続遺産にプラスされて最高55%の相続税が課税されます。

しかし契約者が長男であり、受取人も長男、被保険者が父という契約形態にしておけば、長男が習得する保険金は一時所得になり、最高税率が27.5%にまで下がります。

 

さらに生命保険には次のようなメリットがあります。

 

生命保険金は、遺産分割協議の対象外です。遺留分を原則として考慮する必要もなく、生前に受取人を指定しておけば、その人物固有の財産になります。相続人同士のトラブルを避けつつ、特定の人物に財産を多めに渡したいときなどに、とくに役立ちます。

 

また不動産のように分けることが困難な相続財産が多く、代償分割が予想される場合、不動産を受け取る相続人を受取人に指定することで、公平な遺産分配を実現することができます。

 

ただし第1章(※書籍参照)で述べたように、生命保険は契約形態によって課税内容が変わります。契約者と被保険者が同一でない場合、相続税ではなく贈与税や所得税の対象となることもあります。

節税目的なら、生命保険への加入が「得」といえる理由

生命保険を選ぶときは、保険会社の営業担当者が「○歳で亡くなったときは、○○万円の死亡保険金が下ります」などと、さまざまなシミュレーションをしてくれます。相続人の人数がある程度判明していれば「非課税枠内の死亡保険金が入る保険」「非課税枠+葬儀代程度の死亡保険金が得られる保険」等々、税金負担を考慮しつつ、死亡保険金の使い道をあからじめ考えておくことができます。生前に家族と相談をしておけば、相続が発生したとき、さまざまな手続きをスムーズに進めていくための準備にもなるでしょう。

 

「今から生命保険に加入しても、高齢だからメリットがなさそう」

 

そう考える人が多いのは、保険料が高額であり、上乗せがほとんどないためです。490万円の保険料で500万円の保険金を受け取るような商品がほとんどであり、普通に考えれば「お得感」はありません。

 

しかし「500万円を現金で持っている」と「500万円の死亡保険金を受け取る」は、大きな違いがあります。

 

現金で500万円を持っていれば相続財産としてカウントされるため、相続税が課税されてしまい、目減りしてしまいます。

 

保険金として支払われた500万円は、相続人が1人であっても非課税枠のなかに収まるため、500万円のまま残ります。

 

このため節税を目的とするのであれば、生命保険への加入が「得」に繋がります。

 

高齢者を対象とした保険商品は、以前よりも充実しています。「もうトシだから」と保険に加入していない人、または加入済みであっても死亡保険金額が非課税枠よりも少ない人は、ぜひ生命保険の加入を検討してみてください。

本連載は、2015年9月16日刊行の書籍『相続税の疑問がすっきり! わかる本』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

相続税の疑問がすっきり! わかる本

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