大黒柱を失った家族にとって、公的保障となる遺族年金はなくてはならないもの。多くの人が対象になるように制度設計がされているものの、対象外となり「遺族年金ゼロ円」というケースも。遺族年金がもらえない、主なケースをみていきましょう。
月13万円もらえるはずが…夫を亡くした45歳妻「遺族年金のルール」を知らず、年金事務所で請求却下「えっ、何かの間違いでは?」

平均的なサラリーマンが45歳で死去…残された家族は月13万円の遺族年金がもらえる可能性

――あなた、なんで死んでしまったの

 

夫を襲う突然の不幸に、号泣する妻。まだ「まだ子供も小さいのに。これからどうやって生きていけばいいのか……」と、途方に暮れることでしょう。しかし泣き崩れる妻に対して、「いや保険とかかけてるでしょ」「どう生きたら……って言い過ぎでは?」と思う人も多いのでは。

 

公益財団法人生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』で、自分や家族の将来のために具体的な生活設計を立てているかどうかを尋ねたところ、「生活設計あり」は39.9%、「生活設計なし」が51.5%。さまざまなところで将来への備えの重要性は聞くものの、実際にできている人は4割に留まります。

 

どうして生活設計を立てないのか……最多が「将来の見通しを立て難いから」で25.8%。続いて「経済的余裕がないから」が23.1%、「なんとか暮らしていけるから」22.8%と続きます。単純計算、数にして10人1人は、経済的理由で生活設計が立てられない状況にあるといえます。

 

そんな将来に備えてこなかった/備えることができなかった人たちの助けになるのが遺族年金。大きく、国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金があり、亡くなった人が自営業などであれば遺族基礎年金を、亡くなった人が会社員や公務員であればそれに加えて遺族厚生年金がもらえる可能性があります。

 

実際にどれほどもらえるか考えてみましょう。まず遺族基礎年金。支給額は「81万6,000円+子の加算額」。子の加算額は、1~2人目までは各234,800円、以降は各78,300円。遺族基礎年金がもらえるのは「子のいる配偶者」または「子」。遺族基礎年金は「子がいること」が前提の社会保障だといえるでしょう。

 

続いて遺族厚生年金。支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額。計算式としては「{(平均標準報酬月額×7.125/1,000×2003年3月までの加入月数)+(平均標準報酬月額×5.481/1,000×2003年4月以降の加入月数)}×3/4」となります。また受給要件によりますが、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月(25年)未満の場合は、300ヵ月とみなして計算します。つまり、給与が高い人ほど、その遺族は多くの遺族厚生年金が受け取れる、という仕組みです。一方で子の要件はなく、より多くの会社員や公務員遺族が対象となる社会保障といえるでしょう。

 

たとえば平均的な給与を手にするサラリーマンと、同い年の妻がいたとしましょう。夫は20歳から働き、45歳で急逝したとすると、同い年の妻が手にする遺族厚生年金は年50万5,622円。1ヵ月あたり4.2万円ほどになります。子供が一人いたとしたら、さらに遺族基礎年金は年105万0,800円。合計155.6万円、月12.9万円、手にできる計算です。