中国経済の生命線――「外貨準備高」が減少し続ける現状

今回は、中国経済の生命線である「外貨準備高」が減少し続ける現状を見ていきます。※本連載は、金融情報全般を扱う大手情報配信会社、株式会社フィスコ監修の『FISCO 株・企業報 2017年春号 今、この株を買おう』(実業之日本社)の中から一部を抜粋し、中国経済の危うさと、日本経済に与える影響、世界経済への波及などを検証していきます(執筆:株式会社フィスコ所属アナリスト・田代昌之氏)。

世界最大規模を誇る中国の外貨準備高だが・・・

中国経済の生命線となるのは外貨準備である。中国人民銀行(中央銀行)によると2016年12月末の外貨準備高は3.01兆ドル(約340兆円)で、依然として世界最大規模を誇る。ただ、ピークである2014年6月の3.99兆ドルから減少を続け、5年9カ月ぶりの低水準となっている。

 

日本の外貨準備の状況は、2016年11月末時点で1.21兆ドル。中国との差は圧倒的に見える。ただし、日本の内訳が米国債、各国中央銀行への預金で95%が占められているのに対して、中国の外貨準備に占める米国債は1.1兆ドルと40%を下回る。

 

そもそも中国の外貨準備は、日本のそれとは性質が異なる。日本の外貨準備は為替介入などに充当できる資金であるが、中国では市中銀行の保有する外貨もカウントされているなど、実際に為替介入に充当できない資金も含まれていると推定されている。

 

中国の外貨準備の過半以上がそのような状況にあると推定される以上、中国が為替介入へ確実に充当できる資金は米国債保有残高と考えておくべきだろう。その米国債保有残高は足もとで減少を続けており、予断を許さない状況となってきている。

 

しかも、海外金融機関は中国から資金を引き上げている局面にあり、中国への対内投資額も大幅に減っている。

 

また、グローバル・フィナンシャル・インテグリティー(アメリカのシンクタンク)によれば、国外へ不正に流出した外貨準備は最低でも1兆ドル以上、最悪のケースで3・76兆ドルとも試算されている。

外貨準備が枯渇すれば、IMFへの支援要請も

もとより、中国人民銀行の発表だけをとってみても、2015年8月以降、外貨準備の四半期ごとの下落ペースは再度速まっている。直近1年の下落ペースであるマイナス2.47%が今後も続くと仮定すると、2017年6~9月にはIMF等が容認水準とする2.8兆ドルを割り込む見込みだ。

 

外貨準備が、このまま減少スパイラルを抜け出せないとなると、中国経済は大きな変換を余儀なくされることとなる。そして、いよいよ外貨準備が枯渇するという状況になれば、IMFへの支援要請、海外への外貨流出の封鎖などが現実のシナリオとなろう。

 

いずれの場合でも、それに至る前に大幅な元安、それによる外貨建て負債のデフォルトなどが観測されることになろう。

 

前者では様々な改革を強要されて名実ともに世界経済の一員になるが、後者の場合では鎖国に近い状況も想定される。こうした中国経済の「危うい」現状を踏まえて、次回以降では、これからの中国がたどるであろうシナリオを、いくつか想定して提示していくことにする。

 

株式会社フィスコ アナリスト

当ムックの総合監修ならびに執筆を担当した株式会社フィスコは、株式・為替など金融情報全般を扱う情報配信会社。ロイター、ブルームバーグ、クイックなどプロ向け端末や証券会社のほか、ヤフーファイナンスなど20以上の主要ポータルサイトに情報を提供する、投資支援サービスのプロフェッショナル集団だ。今回紹介した記事を担当した田代昌之はフィスコアナリストとして株式市場・個別銘柄や為替市場を担当。ビットコインなど仮想通貨についても造詣が深い。

著者紹介

連載崩壊は目の前!? 中国経済の「危ない」現状

FISCO 株・企業報 2017年春号 今、この株を買おう

FISCO 株・企業報 2017年春号 今、この株を買おう

田代 昌之

実業之日本社

フィスコアナリストによるまったく新しい経済・株式投資誌 最良の投資支援サービスを提供するプロフェッショナル集団であるフィスコのアナリストが、日本と世界の経済事情から国内市場、そして有望推奨銘柄まで、独自の視点で…

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