実際の相談事例を基に、離婚とお金について解説する本連載。今回の相談者は、40代男性。世帯年収1,500万円の「パワーカップル」ですが、元職場の上司である妻は自宅でパワハラ発言を繰り返し、夫婦関係はギクシャク。妻から離婚を言い渡されたとき夫は安堵したといいますが、ペアローンで購入していたマイホームが足枷となり、なかなか離婚協議が進展しません。持ち家離婚カウンセラー・入江寿氏はどのようにアドバイスしたのでしょうか。
世帯年収1,500万円・40代パワーカップルの離婚…露呈した「ペアローンでマイホーム購入」のリスク【持ち家離婚カウンセラー相談事例】 (※写真はイメージです/PIXTA)

自宅にも持ち込まれた上司と部下の関係

今回の相談者、吉川さん夫妻のご主人・宗男さんは43歳。大学卒業後10年にわたり公務員としてキャリアを歩んだ後、現在はメーカーで営業職に就いています。公務員時代の上司であった妻・陽子さんは現在も勤務を続けているそうで、世帯年収は1,500万円超。結婚4年目にペアローンで購入した神奈川県横浜市内の戸建てに、子ども2人と暮らしています。

 

宗男さんが公務員として歩んできた順調なキャリアを捨てて民間企業への転職を決意したのは、陽子さんとの関係改善が目的でした。というのも、宗男さんの公務員時代に上司だった陽子さんは、その上下関係を家庭にも持ち込んでしまい、家庭に不和が生じていたためです。宗男さんは、職場でも家庭でも一緒に過ごすという環境を変えることで、夫婦として歩み寄れるようになるのではないかと考え、転職をしたのでした。

 

転職から何年か後には2人の子どもを授かりましたが、陽子さんが変わることはありませんでした。

 

陽子さんは相変わらず宗男さんのことを部下のように扱い、18時には帰宅しているにもかかわらず、夕飯作りや掃除や洗濯などをすべて宗男さんに押し付け続けたのです。宗男さんは攻撃的な口調でまくしたてるように喋る陽子さんを恐れていました。指示を断れば陽子さんは機嫌を損ね、何日も部屋から出てこないこともあったといいます。

 

今回、離婚を陽子さんから言い渡されて安堵したという宗男さん。小学生の子ども2人とは、横浜の自宅に住み続けたいと考えているようです。