経済的なダメージを決定的にした「香典辞退」

経済的なダメージを決定的にしたのが香典の辞退です。案内状に「香典・供花は固く辞退いたします」と記したため、香典収入はほぼゼロ。

親戚からは「香典くらい受け取れ」と気を遣われましたが、案内状に辞退すると記載した手前、今さら受け取ることはできなかったと言います。

もし親族・知人約60人が参列する一般葬であれば、香典は1件平均1万円前後、総額で50万〜70万円ほどになります。葬儀費用85万円の大半を香典で賄えた可能性がありました。

さらにトモキさんを苦しめたのは、葬儀後の出費の連続です。

葬儀の約85万円と合わせ、総額は約197万円。実質的な持ち出しは約200万円に達しました。

遺産分割前の「仮払い制度」

法律上、葬儀費用は相続財産から支出する性質のものです。トモキさんには妹と弟がおり、3人とも相続人。

母の遺産は約500万円あるのだから、「立て替えた約200万円を遺産から充当し、残りを3人で分ける」という遺産分割の話し合いは可能でした。立て替えた葬儀費用は、分割の際に清算を求められます。

また、2019年施行の民法改正により、遺産分割前でも「口座残高の3分の1×法定相続分」を上限に(1金融機関あたり150万円まで)、故人の預金から払い戻しを受ける仮払い制度が使えます。亡くなった直後に葬儀社や銀行へ支払う資金を、この制度で工面できた可能性もありました。

しかしトモキさんは「弟や妹に気を遣わせて、親族関係がぎくしゃくするほうが怖い」と一言も相談できず、貯金から約200万円を自腹で払いました。