文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」によると、私立中学校に通う子ども1人あたりの年間学習費総額は156万359円。中学受験に向けた塾代に加え、進学後もまとまった教育費が必要になります。祖父母から援助を受ける家庭もありますが、教育費の負担に対する考え方は人それぞれ。中学受験を控えた娘を持つ43歳の女性は、ママ友の「ある一言」をきっかけに、それまでの付き合いを見直すことになりました。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
「うちはスポンサーがいるから(笑)」中学受験の塾代も実家頼みの44歳ママ友…〈世帯年収1,500万円〉43歳共働き母が距離を置こうと決めたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

〈世帯年収1,500万円〉共働き夫婦が娘の中学受験をサポート

東京都内で暮らすアキコさん(43歳・仮名)は、会社員の夫(45歳)と小学6年生の娘の3人家族です。アキコさんの年収は約650万円、夫は約850万円で、世帯年収は約1,500万円です。夫婦ともにフルタイムで働きながら、娘の中学受験をサポートしています。

 

「娘が中学受験をしたいと言い出したのは小学3年生のころです。私も夫も中学受験を経験しているので、本人が希望するなら応援したいと思いました」

 

小学4年生から大手進学塾に通い始め、6年生になった現在は、通常授業に加えて夏期講習や志望校別の特訓講座などの費用もかかります。

 

「塾代は年間100万円以上です。世帯年収だけを見れば余裕があると思われるかもしれませんが、住宅ローンもありますし、私立中学に進学すれば、その先も学費がかかります。大学進学や私たちの老後も考えて貯蓄しています」

 

アキコさんは仕事にもやりがいを感じており、娘の受験を理由に勤務時間を短くすることは考えていません。夫婦で家事や塾の送迎を分担し、娘の勉強については塾の先生に任せる部分も多いそうです。そんなアキコさんには、娘が塾に通い始めてから親しくなったママ友がいました。

「フルタイムで大変だね」ママ友からの言葉に違和感

リサさん(44歳・仮名)は、同じ塾に通う小学6年生の娘を持つ母親です。週3日ほどパートで働いており、夫は会社員。子ども同士が同じクラスになったことをきっかけに、アキコさんと塾の情報を交換するようになりました。ところが、付き合いが長くなるにつれて、リサさんの何気ない言葉が気になるようになりました。

 

「フルタイムで働いてるんだよね? 大変だね。私には絶対無理だなあ」「受験生の親って、いろいろやることがあるじゃない? 仕事してると、子どもの勉強を見る時間がなくならない?」

 

あるときは「私は娘が学校から帰ってきたとき、できるだけ家にいてあげたいんだよね」と言われたこともありました。

 

「もちろん、それぞれの家庭の考え方があるので、専業主婦でもパートでもいいと思っています。ただ、私がフルタイムで働いていることを話すたびに『大変だね』『私には無理』と言われると、何となく引っかかるものがありました」

 

アキコさんは学生時代から議論が好きで、相手と意見が違えば、自分の考えをはっきり伝えるタイプだったといいます。

 

「まあ、よく私にマウントしてくるわね、と思っていました(笑)。私も黙っていられない性格なので、つい意地悪なことを言っちゃうんですよね」

 

ある日、リサさんから「仕事していると、娘さんの勉強を見る時間もなかなか取れないんじゃない?」と言われたときのことです。

 

アキコさんは、思わずこう返しました。

 

「でも、私も夫も中学受験しているから、娘に勉強を教えてあげられるんだよね。むしろ受験を通して、娘とのコミュニケーションは増えたかも! 夫なんて張り切っちゃって仕事も早く切り上げて帰ってくるんだ」

 

その場では言いたいことを言えたものの、あとになって虚しさが残りました。

 

「学生時代の友人とは、意見が違っても議論を楽しめるんです。でも、リサさんとの会話はそうじゃない。どちらが子どもに時間をかけているか、どちらがいい教育を受けさせているか、そんなことを競っても仕方がないですよね。私まで張り合って、何をやっているんだろうって。世界一不毛な会話だなと思いました」