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「親にも生活がある」援助の終了を告げた日
「これから先、私たちもいつまで元気でいられるかわからない。もう毎月5万円を渡すことはできないよ」
博さんがそう告げると、長男は不満そうな表情を見せました。
「こっちだって、養育費を払わなきゃいけないんだよ。少しは協力してくれてもいいだろう」
その言葉に、博さんは複雑な思いを抱きました。孫が困らないようにと援助を続けてきたのに、いつの間にか、援助をすることが当然のように受け止められていたからです。
「OOちゃん(孫の名前)のことは心配だよ。でも、養育費を払うのはお前の責任だ。私たちにも、自分たちの生活があるんだ」
博さんは、援助を終える考えを変えませんでした。
こども家庭庁『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、母子世帯のうち、養育費の取り決めをしている割合は46.7%、現在も養育費を受け取っている割合は28.1%でした。離婚後の養育費が継続して支払われるとは限らない実態がうかがえます。
もちろん、離婚後の生活が厳しくなることはあります。子どもの養育費を支払いながら暮らすことが、簡単ではない場合もあるでしょう。一時的に親を頼ったとしても、援助を続けられるとは限りません。
博さん夫婦にとって、月5万円は決して小さな金額ではありません。今後、介護が必要になったり、住宅の大規模な修繕が発生したりすれば、さらに資金が必要になる可能性もあります。
「長男が離婚をして、孫に会える頻度も減りました。養育費が払えなくなったら、もっと減るかもしれない。それでも、私たちが生活できなくなったら、誰が私たちを支えてくれるのでしょう」
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、子や孫の生活費を負担している(一部含む)高齢者は25.2%に上ります。一方で、生活費のために「預貯金を取り崩している」高齢者は61.2%に達し、毎月の平均取り崩し額は6.8万円となっています。さらに、現在の貯蓄額について「足りない」と感じている高齢者は57.1%を占めています。
子や孫への援助は親心である一方、自らの老後資金を圧迫する要因となります。共倒れを防ぐためにも、早期の生活費見直しや公的支援の活用、家族間でのマネープランのすり合わせが不可欠です。