当たり前のように続いていた親族間の定期的な交流も、環境の変化や一時的な中断を契機に、その意義や優先順位が冷静に見直されることがあります。事例を見ていきましょう。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
月に2回東京から帰省してきていた息子・嫁・孫たち…年金月25万円・70代夫婦が「ホテルに泊まって」とお願いした衝撃結果 (※写真はイメージです/PIXTA)

子世代の「実家離れ」

総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査結果』によると、2019年以降に手すりの設置や段差解消といった「高齢者等のための設備工事」を実施した持ち家は全体の13.0%となっています。これを世帯内の最高齢者の年齢別で見ると、「65〜74歳」の世帯では13.9%、「75歳以上」の世帯では22.2%にまで上昇しており、年齢の上昇に伴って改修に踏み切る世帯が増加する実態が明確に示されています。しかし一方で、高齢者のいる世帯における住宅の「一定のバリアフリー化率」は45.4%にとどまっており、半数以上の住まいが依然として転倒などのリスクを抱えているのが現状です。

 

幸子さん夫婦のように、配偶者の転倒事故をきっかけに預貯金を取り崩して住環境を整える判断は、自立した在宅生活を維持するうえで必要な選択といえるでしょう。

 

しかし、その改修期間中に生じた「ホテル宿泊の提案」は、子世帯にとって生活行動を見直す思わぬ転換点となりました。

 

東京近郊に暮らす子世帯にとって、金曜夜から日曜夜にかけての実家滞在は、育児や家事のサポートを受けられる利便性がある反面、移動の負担や親への気遣いを伴う行為でもあります。長年続いていた習慣が一度外部要因によって中断されたことで、子世帯側は「実家へ通うことそのものの優先順位」を改めて考え直し、自立した核家族としての過ごし方へとシフトしていきました。

 

シニア世代にとって、子や孫の定期的な訪問は生活の張り合いとなりますが、子世代の成長や生活ステージの変化に伴い、従来の付き合い方をそのまま維持することは容易ではありません。住環境の整備と同時に、家族関係もまた時間の経過とともに変化していくものと受け止め、新たな適切な距離感を築く姿勢が求められます。

 

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