人手不足が続く職場では、退職者が出ても後任が決まらず、残った社員で仕事を回すケースがあります。新しい人材を採用できなければ、一人ひとりの業務量は増えていきます。責任感から引き受けた仕事がいつの間にか当たり前になり、気づけば自分の仕事だけでは手いっぱいに――ある男性の事例から、人手不足の職場で起きることを考えます。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「さすがにもう無理だって…」〈月収36万円・35歳会社員〉、先輩社員が退職した次の日の朝、出社して目撃した「まさかの光景」 ※写真はイメージです/PIXTA

人が辞めても補充されない…残された社員の苦悩

帰宅後、山田さんのスマートフォンに同僚からメッセージが届きました。

 

「転職を考えているんだよね」

 

山田さんは、すぐには返信できませんでした。

 

「また辞める人が出たら、今度は誰がその仕事をやるんだろう。そう考えると、これ以上続けられるのか不安になりました」

 

仕事そのものが嫌いなわけではありません。勤続年数も長く、職場の事情にも詳しい。給与も一定の水準にあります。それでも、退職者が出るたびに仕事が増える状況には、疑問を感じていました。

 

その後、山田さんは、上司に現在の業務量を伝え、優先順位や担当範囲を見直してもらうよう掛け合いました。今後、改善が見られなければ、転職も考えるといいます。

 

「周りに迷惑をかけたくないと思って引き受けてきました。でも、仕事量が増えたからといって、給料がそこまで増えているわけでもない。このままでは自分が働けなくなりそうです」

 

厚生労働省『令和8年版 労働経済の分析』では、人手不足の背景などが分析されています。人材の確保が難しい企業では、採用活動だけでなく、既存の社員を定着させる取り組みも重要。業務の分担や効率化を進めず、残った社員の努力に頼り続ければ、さらなる離職につながるのは明白なのです。