定年退職を迎えて急増した自由時間の使い道に悩むシニアは少なくありません。なかにはいままで仕事に向いていた関心の矛先が孫や子世代に向いてしまうことも。事例を見ていきましょう。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したものです。
「孫の運動会、行きたかったな…」年金月18万円・定年退職した65歳祖父、ヒマになったのに娘家族からイベントに呼んでもらえないワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

定年後の「時間とお金」

厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業年報』によると、男性の厚生年金(第1号)の平均受給額は月額約16万7,000円です。ヨシキさんの月18万円という年金収入は、単身であれば標準的ですが、夫婦2人の生活費を賄う前提に立つと、決して贅沢ができる水準ではありません。現役時代のように、家族に気前よく外食をごちそうしたり高価な買い物を振る舞ったりして、頼もしい祖父の姿を見せるような余裕はなくなります。

 

一方で、退職に伴って大きく増えるのが「時間」です。総務省統計局『令和3年社会生活基本調査』によると、65歳以上・無職の男性における1日の「三次活動時間(趣味・休養・交際などの自由時間)」は平均で約6時間40分に達します。定年後の可処分時間はトータルで「8万〜10万時間」にもおよぶといわれており、この膨大な時間をどう過ごすかが、リタイア後の生活満足度を大きく左右します。

 

現役時代を仕事一筋で過ごしてきたヨシキさん。今回の問題は、この「有り余る時間」と「これまでの経験や自負」をそのまま孫や家族へとぶつけてしまう点にあります。会社での役職や指導権を失った寂しさを埋めるように、孫の教育やスポーツに過剰に口を挟んだり、善意の指導を押し付けたりしてしまうと、子世代からは「時間を持て余した親の身勝手な介入」と受け取られ、敬遠される要因になります。

 

定年後の暮らしを豊かに保つためには、生きがいや関心を家族だけに向けすぎず、適度な距離を保つ姿勢が欠かせません。年金生活のなかで、無理のない範囲で趣味や、健康維持のための運動や地域のコミュニティ活動を行うことで、自分自身の時間とお金を、自分のために楽しんで使うようにしましょう。

 

子どもや孫との関わりは、成長を遠くから見守る場として一歩引いて付き合い、空いた時間は自分自身の自立した余暇として楽しみ、時間とお金のバランスを保つことが重要です。

 

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