(※写真はイメージです/PIXTA)
「祖父母を父と同じお墓に移したかった」墓じまいを知らなかった親族の事情
義男さんが墓じまいを無事に終えた一方で、今回の墓じまいについて何も知らされていない親族がいました。広島県に住む吉田秀則さん(53歳・仮名)です。
秀則さんは、おばの配偶者の連れ子に当たる方でした。その配偶者の両親、つまり秀則さんにとっての父方の祖父母も、義男さんが墓じまいするお墓に埋葬されていたのです。
ところが、実際にお墓を訪れてみると、そこにあるはずのお墓がなくなっていたのです。市役所に確認したところ、すでに義男さんによって墓じまいが行われていることがわかりました。
秀則さんは義男さんに連絡を取り、無事に祖父母の遺骨を引き取ることができました。
親族関係が複雑な墓じまい。事前に確認しておきたいこと
今回の事例の発端は、義男さんが疎遠だったおばの相続人になったことでした。そして、仕方のないことですが、親族関係を十分に把握できないまま墓じまいを進めたことで、秀則さんに連絡が届きませんでした。
古くから続くお墓では、何世代にもわたる親族の遺骨が納められていることがあります。本家と分家の関係だけでなく、婚姻によってつながった遠縁の親族が同じお墓に埋葬されている場合もあります。
墓じまいを進める場合には、あらかじめ関係する親族へ可能な範囲で連絡しておくことが望ましいでしょう。その際、
「遺骨を引き取りたい人はいないか」
「別のお墓へ移したいと考えている人はいないか」
こうした希望も確認しておく必要があります。
今回の場合、あとから親族が現れる可能性を考えて義男さんが遺骨を保管していたため、大きな問題になることはありませんでした。もし遺骨をすべて合祀墓などに納め、取り出せない状態にしていたら、秀則さんの希望に応えることは難しかったでしょう。
また、連絡先が分からない親族がいる場合には、どのような方法で連絡を試みたのかを記録しておくことも、行き違いを防ぐ手立てになります。
墓じまいでは、お墓を管理する人の事情だけでなく、そこに眠る故人を供養したいと考える親族の存在にも配慮する必要があります。今回のように、関係者の皆さまが先祖を大切に思う気持ちが通じる形で、墓じまいができるようにサポートしていきたいと思っています。
伊藤 昌陸
AOMA行政書士事務所
代表