疎遠だったおばの相続人となり、広島県の山中にある先祖代々のお墓を整理することになった57歳の男性。江戸時代から続く旧家のお墓は、場所を探すだけでも一苦労でした。ようやく墓じまいを終えたところ、連絡を取れていなかった親族から「遺骨を返してほしい」と申し出がありました。実は、その親族には祖父母の遺骨を父親と同じお墓に移したいという希望があったのです。双方の事情から、行政書士の伊藤昌陸氏が墓じまいで見落としやすい問題を解説します。
「うちの墓が…なくなってる?」祖父母の墓参りに来た53歳男性が更地の前で呆然。連絡先も知らない親族が進めた「無断墓じまい」の真相【行政書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

疎遠だったおばの相続人に…江戸時代から続くお墓の場所も分からない

愛知県名古屋市に住む中村義男さん(57歳・仮名)は、疎遠だったおばが亡くなったことで、思いがけず相続人になりました。

 

おばには身寄りがなく、義男さんが相続に関わることになったのですが、そこで問題となったのが広島県にある先祖代々のお墓でした。義男さんの家系は、江戸時代から続く旧家です。かつて地域の庄屋を務めており、山の中に何世代にもわたる先祖のお墓がありました。

 

しかし、義男さん自身は名古屋市に暮らしており、広島県のお墓を今後も管理し続けるのは容易ではありません。

 

このままお墓の問題を放置することで、いずれ無縁墓になってしまうのは忍びない。そう考えた義男さんは、墓じまいを決心します。改葬許可証を取得するために、墓地管理者である所有者を調べることになりました。

 

ところが、お墓が山の中にあることは分かっていても、土地の地番がわかりません。また、山奥にあるため、公図の形状も実際と大きく異なります。そのため、土地の所有者を特定する登記事項証明書を取得して、土地の所有者を確認することができないという問題がありました。

 

土地の地番を確定するため法務局へ問い合わせても、山奥で特定が困難となるため、地番を確定するためには窓口に来て確認するよう案内されたため、ネットで調べた地元の不動産会社に電話をかけ、ご協力をお願いしました。

 

その後、公図と現地の地型の状況を照合しながら、何とかお墓の地番を特定。特定できた地番から登記事項証明書を確認することで、改葬許可申請書に必要な印鑑を取得するべき墓地管理者を特定することができました。

 

さらに、遺骨を取り出す作業でも、古いお墓ならではの事情が分かりました。骨壺に納められた遺骨がある一方、骨壺に入っていない遺骨なども出てきました。このお墓が先祖代々のお墓であったため、土葬も行われていたのでした。

 

土葬による遺骨は、火葬や粉骨などの処理を実施。個人を特定することはできないものの、ひとまとめにしておくことになりました。

 

また、義男さんには、もう一つ気がかりなことがありました。おばとは長年疎遠だったため、親族関係を十分に把握できていなかったのです。分かる範囲で親族に連絡を取りましたが、連絡先が分からない人もいました。

 

そこで私は、後から遺骨を引き取りたいという親族が現れる可能性を考え、遺骨を骨壺にまとめて保管しておくことを義男さんにアドバイスしました。このアドバイスが、後々役立つことになりました。