(※写真はイメージです/PIXTA)
共働き親の子…「孤食」の実態
東京23区の子育て世帯において「世帯年収1,000万円」は決して特別な富裕層ではありません。ニッセイ基礎研究所のレポート(2025年1月)が引用する総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」によると、東京特別区の「夫婦と子供から成る世帯(574,200世帯)」のうち、世帯所得1,000万円以上は56.2%(322,800世帯)と過半数を占めています。さらに、妻が正規雇用で働いている世帯に限れば、その割合は69.7%と約7割に達します。
この高い世帯年収は、夫婦の双方がフルタイムの責任ある立場で働き、日常的な残業や長時間の通勤に一日の大半を奪われている結果にほかなりません。
つまり、都内で子育てをする共働き世帯の多くが「収入は一定水準にあるが、慢性的な時間不足によって我が子を孤食にさせてしまうリスク」と隣り合わせにあるのです。十分な世帯収入があっても、親が「時間貧困」に陥っていれば、民間のシッターや食事のデリバリーで腹を満たすことはできても、地域社会とのつながりや「誰かと食卓を囲む温かさ」までを代替することは困難です。
こうした背景から、現在の子ども食堂は「貧困対策」以上に、「地域交流の拠点づくり」や「子どもの孤食の解消」を活動目的として掲げる運営主体が大半を占めており、対象を限定しない開かれたインフラへと進化しています。
また、こうした社会的役割の拡大に伴い、運営側を支援する仕組みも徐々に整備されつつあります。子ども食堂の運営は善意のボランティアスタッフによる無償の労働や持ち出しに支えられている部分が大きいものの、現在では各自治体が交付する「子ども食堂推進事業」などの公的補助金や、民間財団・企業からの活動助成金、農林水産省を通じた政府備蓄米の無償交付など、立ち上げや継続を後押しする支援制度が広く活用されています。
本来であれば家庭内で完結するはずの「団らん」を、地域のボランティアや公的・民間支援が入った食堂に頼らざるを得ないほど、現代の共働き世帯は時間的な余裕を失っています。「貧困家庭の子が行く特別な場所」というレッテルを外し、現代の標準的な家族が抱える孤食を防ぐためのセーフティネットとして、子ども食堂の存在意義を捉え直す時期に来ているといえます。
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