内閣府「令和5年版男女共同参画白書」によると、2021年時点で、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦の家事関連時間の77.4%を妻が担っています。看護師として働く41歳の女性は、結婚以来、義父から医療相談や通院の付き添いを頼まれてきました。そんななか、体調を崩した際に夫から言われた一言で、積もり積もった不満が爆発。結婚当初に義父から言われた「これで安心だな」という言葉を思い出します。
「これで安心だな」結婚時に76歳義父から言われた一言が現実に…〈年収580万円〉41歳看護師女性が、義実家からの「度重なるお願い」に怒りを爆発させたワケ ※写真はイメージです/PIXTA

高熱で寝込んでいる妻に「俺のご飯は?」

ある冬の日、サエさんは高熱を出して寝込んでしまいました。夜勤が続いたあとで体調を崩し、朝から寝室で休んでいました。夫にも体調が悪いことを伝えてありました。この日は娘の学校が休みで、マサキさんが娘の昼食などの世話をしていました。夕方、寝室にやって来た夫は、こう尋ねたそうです。

 

「俺のご飯は?」

 

サエさんは耳を疑いました。

 

「大丈夫? でもなければ、何か食べたいものある? でもない。自分の夕飯の心配だったんです。さすがに呆れました。それくらい自分で考えてと言いました」

 

夫は料理がまったくできないわけではありません。しかし、夫婦の食事の準備は、いつの間にかサエさんが中心になっていました。共働きで生活費もほぼ折半しているのに、日々の家事や娘の予定管理はサエさんに偏っていたといいます。

 

「娘の世話をしてくれていたのはありがたかったんです。でも、それって父親として当たり前のことですよね。私が熱を出しているときくらい、自分の食事は自分で何とかしてほしかった。私が滅多に倒れることがないので夫も戸惑ったと思うのですが、結婚9年目にして呆れると同時に情けなくなりました」

 

その瞬間、結婚当初に義父から言われた「これで安心だな」という言葉が頭に浮かんだそうです。義父は妻の体調が悪くなるとサエさんを頼り、夫はサエさんが体調を崩しても自分の食事を心配する。

 

「義父も夫も、私が何かをしてあげることには何の疑問も持っていない。でも、私が具合の悪いときに何かをしてあげようとは思わないんですよね。親子まとめてぶん殴りたくなりました」

「あなたの親のことは、まずあなたが対応して」

体調が回復したあと、サエさんは夫と話し合いました。義両親の医療相談や通院の付き添いについては、今後は夫が窓口になること。病気や薬についての相談は主治医にすること。そして、夫婦の家事や育児の分担も見直したいと伝えました。夫は最初、「父さんだって悪気があるわけじゃない」と不満を示したといいます。

 

「悪気がないからといって、私の時間を使っていいわけじゃないでしょう、と言いました。そもそも『悪気がない』って一番タチが悪いんだよ、と。私が看護師であることと、あなたの親の世話を引き受けることは別の話だって」

 

さらに、サエさんにはもう一つ気になっていることがありました。8歳の娘への影響です。

 

「お母さんが家族の世話をして、お父さんはそれを当たり前に受け取る。そんな関係を普通だと思ってほしくないんです。娘には、自分の時間も相手の時間も大切にできる人になってほしいので」

 

夫が義父に伝えると、義父は「今まで頼りすぎていたかな」と話したそうです。ただ、その後もサエさんに直接連絡が来ることがあり、完全に状況が変わったわけではありません。それでもサエさんは、無理な頼み事は断るようになりました。夫とも家事や育児の分担について話し合いを続けているといいます。

ケア役は女性が担うもの?

内閣府「令和5年版男女共同参画白書」によると、2021年時点で、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦の家事関連時間の77.4%を妻が担っています。ここには家事や育児、買い物に加え、「介護・看護」も含まれます。子育て世帯を対象とした数字ですが、家庭内の無償労働が女性に偏る実態を示しています。家族の体調を気遣い、病院の予約を取り、通院に付き添う。こうした行為は、一つひとつは小さなことに見えても、時間や労力がかかります。

 

サエさんの場合、看護師という専門性もあって、義実家からの頼み事が集中していました。しかし、義父も夫も、自分たちでできることまでサエさんに任せようとしていたのです。そこには、ケアは女性が担うものだという無意識の思い込みがあったのかもしれません。また、ケアにかかる手間や時間を軽く見積もっていたとも考えられます。

 

家庭内の役割分担は、子どもにとっても身近な手本になります。家族だから助け合うことと、誰か一人がケアを引き受け続けることは別の話です。