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「これで安心だな」引っかかった義父の言葉
神奈川県内で暮らすサエさん(41歳・仮名)は、総合病院に勤務する看護師です。夜勤手当や賞与を含めた年収は約580万円。会社員の夫・マサキさん(43歳・仮名)の年収は約520万円で、世帯年収は約1,100万円です。夫婦は9年前に結婚し、現在は小学2年生の娘(8歳)と3人暮らし。サエさんは大学卒業後から看護師として働き続けており、現在も夜勤のある不規則な勤務をこなしています。
夫も家事や育児には参加していますが、娘の学校との連絡や習い事の予定管理、日々の食事の準備などは、主にサエさんの役割です。そんなサエさんには、結婚当初から心に引っかかっている言葉があります。結婚の挨拶で夫の実家を訪れた際、義父(76歳)が笑顔でこう言ったのです。
「看護師さんがお嫁に来てくれるなら、これで安心だな」
当時、義父は67歳。義母も大きな持病はなく、夫婦2人で元気に暮らしていました。
「医療関係の仕事をしている人が身内にいると心強い、というくらいの意味だと思いました。少し引っかかりましたけど、悪意があるわけではないでしょうし」
ところが、結婚から数年が経つころには、サエさんはその言葉をたびたび思い出すようになりました。
「ちょっと聞きたいんだけど」が増えていく
最初は、義母の血圧についての相談でした。
「母さんの血圧が少し高いみたいなんだけど、これくらいなら大丈夫かな」
義父から電話があり、サエさんは気になることがあればかかりつけ医に相談するよう勧めました。それ以来、義父から医療に関する相談が寄せられるようになりました。薬の飲み合わせ、健康診断の結果、病院の選び方。義母が体調を崩したときには、受診すべき診療科を尋ねられることもありました。
「看護師なら何でもわかると思っているんです。そのたびに病院や主治医に相談してくださいと伝えていました」
やがて相談だけでは済まなくなりました。義母が検査を受けることになると、義父から付き添いを頼まれたのです。サエさんは勤務を調整し、義母の通院に付き添いました。
「義母には普段からよくしてもらっていましたし、最初は自分にできることがあるなら協力したいと思っていたんです」
しかし、その後も通院の付き添いや病院への問い合わせなどを頼まれるようになりました。義父は車を運転でき、普段の買い物や外出にも不自由していません。それでも、病院に関することになるとサエさんに連絡してくるのです。
「義父は『俺は医療のことがわからないから』と言うんです。でも、わからなければ医師に聞けばいいですよね。予約や付き添いだって、専門的な知識がなければできないことではありません」
義父が義母を心配していることは理解できます。ただ、その心配から生じる手間や時間を、なぜ自分が引き受けることになるのか。サエさんは疑問を感じるようになりました。
「お前は詳しいんだから、頼らせてやってよ」
サエさんが不満を感じていたのは、義父だけではありません。夫のマサキさんの態度にも納得できない部分がありました。義父から連絡があるたびに夫に相談しても、返ってくる言葉は決まっていたといいます。
「サエは詳しいんだから、頼らせてやってよ」
しかし、通院の付き添いには数時間かかることも珍しくありません。病院の予約や交通手段の確認など、細かな用事も発生します。
「夫も義父も、私がちょっと手伝えば済むことだと思っているんでしょうね。でも、私は普段から仕事で患者さんのケアをしているんです。家に帰れば娘の世話もありますし、休みの日くらい、少しは自分の時間がほしいですよ」
あるとき、夜勤明けで休んでいたサエさんに義父から電話が入り、義母を検査のために病院まで送ってほしいと頼まれました。サエさんが夫に代わりに行ってほしいと伝えると、夫は仕事の予定があることを理由に難色を示し、サエさんが看護師だから付き添ったほうが安心だと言ったそうです。そこでサエさんの怒りが爆発しました。
「えっと、車で送っていくだけだよね? それも看護師の専門だっけ? 看護師が運転する車に乗ると体の調子がよくなるとでも? それなら私も乗りたいわ!」さらに「とにかく私は疲れているから、タクシーで行ってもらって」と言い切りました。
普段は義実家からの頼み事をできるだけ引き受けてきたサエさん。その剣幕に、マサキさんは驚いた様子だったといいます。ところが、その後、夫のある一言がサエさんの我慢を限界へと追い込むことになります。