「海外の不動産は、現金で買うものだと思っていました」
オーストラリア・メルボルンを拠点に、日本人のお客様の不動産購入や企業進出のお手伝いをしているKPG代表の寺田です。
全10回の連載の最終回となりますが、今回はオーストラリア不動産の購入を真剣にご検討されている方に向けて、「ローン」のお話をさせていただこうと思います。
数年前、東京で会社を経営されている50代のお客様を、メルボルンの新築タワーのモデルルームにご案内しました。ヤラ川を見下ろすお部屋をひととおりご覧になったあと、近くのカフェでこのようにおっしゃいました。「すごく気に入りました。でも今回は見送ろうかと」。
聞けば、都内にローンを払い終えたマンションをお持ちでした。それなら日本の金融機関で、そのマンションを担保に借りられるかもしれません。そうお伝えすると、少し驚いたお顔をされたのを覚えています。
その後、東京スター銀行の担当者に話を聞く機会がありました。国内の不動産を担保にして、豪州物件の購入資金を融資することは可能であり、物件代金だけでなく、仲介手数料や家具代などの諸費用まで対象にできるそうです。
同じころ、メルボルンで一緒に仕事をしている住宅ローンブローカーの知人が、こんなことを言っていました。「オーストラリア人は、借りられる力そのものを資産だと考えるんですよ」。豪州人の資産形成を間近で見ているこの業界のプロの言葉には、確かな説得力がありました。
資金の調達ルートは大きく2つ
日本に住む方が豪州不動産をローンで買う場合、ルートは主に2つです。
1つ目は、日本の金融機関から円で借りる方法です。担保にできるのはマンションや戸建て、アパート、土地、駐車場などで、二番抵当や複数物件の組み合わせが認められる場合もあります。日本の資産を眠らせずに活用できる点が最大の利点です。
2つ目は、豪州の金融機関から豪ドルで借りる方法です。豪州では住宅ローン利用者の約8割がブローカーを通しており、非居住者でも借りられる金融機関を探してもらえます。現地ブローカーに取材した時点では、購入物件を担保に入れ、現地居住者向けの金利と非居住者(日本人)向けの金利はともに7%前後と、大きな差はありませんでした。借入比率を抑えれば、さらに金利が下がる余地があるケースもあるそうです。
金利差よりも「通貨のずれ」を見る
数字だけを見れば、金利の低い日本で借りるほうが有利に見えます。ただ、私がお客様に必ずお話しするのは、借入と資産の「通貨が揃っているかどうか」です。
円で借りて豪ドルの物件を持てば、為替の影響をまともに受けます。円安になれば資産の円換算額は増えますが、円高に振れれば資産は目減りし、借金は円のまま残ります。一方、豪ドルで借りれば、豪ドルの家賃収入で豪ドルの返済をするため、通貨の不一致(為替リスク)は生じません。
日本も金利が上がり始めました。両国の金利差は昔ほど大きくありません。金利の数字だけで決めてしまうと、こうした構造的な違いを見落としてしまいます。
新築購入(オフ・ザ・プラン)に潜む「時間差」の罠
もう一つ見落とされやすいのが、ローンを実行するタイミングです。
外国人が投資目的で買えるのは原則として新築か更地で、中古住宅の購入は禁止されています。そのため日本人投資家の多くは、完成前の物件を契約する「オフ・ザ・プラン」で買うことになります。
この場合、契約時に支払うのは手付金(一般的に10%)だけで、残りは2〜3年後の完成時に決済します。ローンが必要になるのはこの決済のときです。その時点の金利や審査基準、さらに銀行の鑑定額によって、借りられる額は変わります。もし鑑定額が契約価格を下回れば、差額は自己資金で埋めなければなりません。
さらに豪州では、物件価格に対し外国人に約8%の印紙税も発生します。契約前に借入可能額の目安を確認し、手元資金には余裕を残しておく。これだけでも、後で慌てる場面はかなり減らせます。
このように、計画的に考えて現地でローンを組むことも、非常に有効な資産運用の戦略になります。
「借りる力も資産」という現地ブローカーの言葉は、むやみに借金を勧めるものではありません。手元にある日本の資産と豪州の安定した市場を、どう組み合わせるかという話です。借りるかどうかは、通貨とタイミングの2点を確認してから決めても遅くはないのではないでしょうか。
完成前物件の一例「671 Chapel Street」
この10回に及ぶ連載の締めくくりとして、特におすすめの物件、メルボルンの高級住宅地サウスヤラで開発中の「671 Chapel Street」をご紹介したいと思います。最後に本物件をご紹介するのは、教育の都市メルボルンの中でも特に有名校がこのエリアに集中しており、お子様の教育のために移住される方が非常に多いためです。
ヤラ川沿いのChapel Street北端に建つ20階建てのタワーで、サウスヤラ駅とイーストリッチモンド駅のどちらにも歩いて行けます。デベロッパーはCASA、設計はBates Smartです。約24mのラッププールやサウナ、ジムがあり、コンシェルジュは1日16時間対応します。価格は2ベッドルームが135万豪ドルから、3ベッドルームが250万豪ドルから。完成は2028年初頭の予定です。完成時の決済でローンを使うなら、前述の時間差をあらかじめ計算に入れておく必要があります。
詳しくはこちら:https://note.com/keypartnerglobal/n/nf7225dc4f643
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