東京都心の新築マンション平均取引価格が1億3,000万円を突破するなか、日本の富裕層の間で「同じ予算で何が得られるのか」を海外市場に求める動きが加速しています。なかでも注目を集めるのが、シンガポールや北米と比較しても、外国人への開かれた制度や物件の広さが際立つオーストラリア不動産です。なぜ今、東京のタワーマンション居住者がメルボルン視察で驚きの声を上げるのか。現地を拠点に、数多くの日本人投資家やご家族の移住・進出支援を手がけてきたKPG代表の寺田環氏が、世界主要都市とのデータ比較を交えながら、価格だけでは見えない「オーストラリア不動産のリアルな魅力と投資機会」を紐解きます。

港区のタワーマンションから来たご夫妻の一言

オーストラリア・メルボルンを拠点に、日本人のお客様の不動産購入や企業進出のお手伝いをしているKPG代表の寺田環です。


前回(参考記事:『2032年五輪へ向け加速する都市開発…「17%超の価格上昇」と「圧倒的な供給不足」が交差する「豪・ブリスベン不動産」の現在地』)は、ブリスベンの不動産市場を取り上げました。2032年のオリンピックを控えて注目が集まる一方で、不動産価格も大きく上昇している街です。

 

今回は、そのブリスベンを含むオーストラリアの主要都市を、東京や他の海外先進国都市と比較してみましょう。現在、東京都心の新築マンション平均取引価格は約1億3,000万円に達し、シドニーの約1億2,000万円を上回りました。数字だけを見ると意外に感じるかもしれません。しかし、実際に現地でお客様をご案内していると、その差は数字以上に、空間の広さや暮らしの実感として表れます。今回は、その詳細や理由について分析してみたいと思います。

 

先日、メルボルンの視察にいらしたのは、東京・港区のタワーマンションにお住まいのご夫妻でした。ご案内したのは、現地の大手デベロッパーが手がける新築物件です。

 

1ベッドルームのモデルルームに入ったところで、奥様が足を止めました。「これで1ベッドなんですか」。バルコニーを含めて約60平米という広さに、ご自宅の環境と比べられていたのでしょう。金額をお伝えすると、今度はご主人が黙って図面を何度も見直されていました。

 

東京都心にお住まいの方とお話ししていると、こうした反応は決して珍しくありません。マクロな数字を並べる前に、まずは体感として圧倒的な価格差に気づかれるのです。

データ比較で際立つ、東京都心の不動産価格の高さ

最近、東京都心の平均取引価格が約1億3,000万円を突破したというニュースがありました。報道によれば、千代田区が約2億4,000万円、港区が約2億2,000万円台とされています。

 

これをオーストラリアの主要都市の平均価格と並べてみます。

 

● シドニー:約1億2,000万円

● ブリスベン:約1億円前後

● メルボルン:約8,500万円

 

このように、東京都心の平均がシドニーの平均を上回っています。ただし、この「価格の差」は「広さの差」でもあります。港区では平米単価が1,000万円前後の物件も珍しくなく、金額が大きい割に専有面積は決して広くありません。

同じ予算で、住空間はこれだけ変わる

一方、メルボルン中心部の新築物件は、1ベッドルームが最低でも50平米、バルコニーを含めると60平米ほどになります。2ベッドルームで約90平米、3ベッドルームであれば120〜130平米です。平米単価は150万〜200万円程度と、港区の水準と比べるとかなり抑えられています。また、日本のデベロッパーが共同事業に参画しているプロジェクトも多く、施工や仕上げの質は日本の感覚で見ても遜色ありません。

 

オーストラリア国内でも、都市間における価格や特徴の差は大きいと言えます。例えば、シドニーのダーリングハーバー沿いで進んでいるウォータービューの新築プロジェクトでは、1ベッドルームで約2億円という価格帯です。仮にメルボルン中心部で同じ品質の物件を探すと約7,500万円となり、物件にもよりますが2倍から3倍の開きがあります。メルボルンの主要ターミナルであるサザンクロス駅前にある歴史的なヘリテージ物件でも、1ベッドルームで8,000万円前後です。東京駅の目の前で、この価格帯でこれほどの広さを手に入れることはまず考えられないでしょう。

 

シドニーは、オペラハウスに代表される国の顔として、かつては移住や投資の第一候補でした。しかし、価格が高騰した今は、同じ予算で「何が得られるか」を重視して比較検討される方が増えています。メルボルンはすでに人口でシドニーを抜き、製造業や教育を軸に持続的な成長を続ける街です。ブリスベンとゴールドコーストはオリンピック特需もあり値上がりが続いていますが、資源やリゾート産業を中心とした街であるため、安定した賃貸需要を狙うのであれば、メルボルンを選ぶ方が多いのが実情です。

シンガポール、カナダ、アメリカとの比較で見える優位性

日本の富裕層の投資先としては、シンガポールやカナダ、アメリカも候補に挙がります。ここでは価格そのもの以上に、外国人投資家に対する制度や税制に大きな違いがあります。

 

シンガポール:外国人が住宅を買う際に60%の追加印紙税(ABSD)がかかります(2023年4月引き上げ)。広さ約140平米(1,500平方フィート)の中級エリアのコンドミニアムで、120万〜180万シンガポールドル(おおむね1億4,000万〜2億1,000万円)。賃貸利回りは2.5〜4%程度とされており、重い税負担を織り込むと、投資として成り立たせるハードルは高めです。

 

カナダ:外国人による住宅購入禁止法が2027年1月1日に期限を迎えます。仮に失効したとしても州や市の税は残り、トロントは合計35%、バンクーバーは20%の追加税がかかります。価格面では、バンクーバー都市圏全体のベンチマーク価格が約75万8,000カナダドル(おおむね8,000万円)で、前年同月比で約2.8%下落しています。

 

アメリカ(マンハッタン):2026年第2四半期のコンドミニアムとコープの中央値は125万ドル(おおむね1億9,000万円)で、前年同期比4.2%の上昇でした。ただし、物件の在庫は前年比で15%減少しており、買える物件そのものが限られています。

 

こうして見ると、東京の1億円の物件とオーストラリアの1億円の物件を単純に比較するだけでは不十分であることがわかります。購入時にかかる税金、入居者の付きやすさ(賃貸需要)、そして外国人に開かれている市場かどうかも含めて総合的に比べる必要があります。

見落とされがちな維持費と、比較検討における重要な視点

もうひとつ、見落とされがちなのが購入後の「維持費」です。日本では固定資産税に加え、マンションの駐車場代や修繕積立金が月々かかります。一方、オーストラリアはカウンシル税(住民税のようなもの)と土地税が中心で、管理組合費も日本より安い傾向があります。駐車場代は管理費に含まれているか、そもそも別途徴収されないのが一般的です。10年、20年と持ち続けると、このランニングコストの差は大きく積み重なります。

 

東京は立地と資産の安定感で選ぶ市場です。対してオーストラリアは、広さや品質、賃貸需要、そして購入後の維持費を含めた「総合力」で選ぶ市場と言えます。「同じ予算で何を手に入れたいのか」。その明確な基準を持って比較することで、日本の富裕層からメルボルンが選ばれている理由がおのずと見えてきます。

 

より詳しくオーストラリア不動産の制度や市場動向を知りたいという方のために、KPGでは入門資料をご用意しています。あわせて、現地の最新情報や一般公開前の物件情報をお届けするメールマガジンも配信していますので、ご興味のある方はぜひご登録ください。

 

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参考文献

1.Median price for Manhattan co-ops and condos hit $1.25 million in second quarter (Brick Underground)

2.シンガポール不動産購入ガイド2026|外国人ABSD 60%・コンドミニアム・投資戦略

3.Canada's Foreign Buyer Ban Ends January 1, 2027 (Deeded)

 

※本記事はKPGによるスポンサードコンテンツです。掲載されている情報は執筆時点のものであり、将来の運用成果や資産価値の上昇を保証するものではありません。投資に関する最終決定はご自身の判断で行ってください。