(※写真はイメージです/PIXTA)
「孫のためにお金をかけてきたのに…」息子を怒らせた一言
電話を切ったあと、トシエさんは夫に事情を説明しました。夫も残念がりましたが、「去年、注意されたんだから仕方ないよ」と言ったそうです。それでも、トシエさんには割り切れない気持ちが残りました。
「孫の写真を撮って、かわいいねって友達に見てもらいたかっただけなんです。お金も時間もかけてかわいがってきたのに、運動会に来ないでと言われるなんて……」
息子からも連絡がありました。
「母さんは悪気がないのかもしれないけど、ほかの子の写真を勝手にネットに載せるのはやめてほしい。うちの子の写真だって、載せる前に相談してほしいんだよ」
トシエさんは、「これまで節約してでも孫のためにお金をかけてきたのに」と口にしました。すると、息子から思いがけない言葉が返ってきました。
「お金をかけていることを恩に着せるんだったら、もう何も買ってくれなくていいよ!」
トシエさんは言葉を失いました。
「そんなつもりで言ったわけじゃないんです。でも、孫のためにしてきたことを全部否定されたようで、悲しかったですね」
息子はさらに、プレゼントを贈ってくれることには感謝しているものの、それと今回の問題は別だと説明したそうです。トシエさんは、過去に投稿した孫の写真を見直し、長男夫婦に確認していなかったものを削除しました。
ただ、今年の運動会については長男夫婦の判断は変わっていません。
孫にかけたお金と、親の判断は別のもの
ソニー生命保険の「シニアの生活意識調査2025」によると、直近1年間に孫のためにお金を使ったシニアの平均支出額は11万3,074円。前年より8,357円増加しました。また、孫がいるシニアに支出の用途を尋ねたところ、最も多かったのは「おこづかい・お年玉・お祝い金」(69.8%)で、「一緒に外食」(54.4%)、「おもちゃ・ゲーム」(32.1%)と続きます。
一方、総務省が2026年2月に公表した「家計調査(家計収支編)」の2025年平均結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1ヵ月の可処分所得が22万1,544円なのに対し、消費支出は26万3,979円。平均で月4万2,434円の不足が生じています。
年金生活のなかで、孫への贈り物や一緒に過ごす時間のためにお金を使うことは、祖父母にとって決して小さな負担ではありません。トシエさん夫婦にとっても、孫への出費は日々の生活の楽しみのひとつでした。しかし、孫にお金をかけてきたことと、孫の行事に参加できるかどうかは別の問題です。
息子が問題にしていたのは、プレゼントの金額ではなく、昨年注意したにもかかわらず、母親が写真をSNSに公開することのリスクを十分に理解していなかったことでした。
祖父母が孫をかわいがる気持ちと、親が子どものプライバシーを守ろうとする気持ちは、対立するものではありません。しかし、孫のためにしてきたことが、親に何かを求める理由になってしまえば、関係がこじれることもあります。今年は孫の運動会を見ることができなくなったトシエさん夫婦。来年、再び招待してもらえるかどうかは、長男夫婦との信頼関係を取り戻せるかにかかっているのかもしれません。
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