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親の自立を尊重しながら、異変に気づくには
茂さんの入院後、陽子さんは退院してからの生活について父と話し合いました。
「一緒に暮らすことも考えました。でも、父は長年住んできた家を離れたくないと言います。私も仕事があるので、毎日通うのは難しい。どうすれば父の希望を尊重しながら、安全に暮らしてもらえるのか悩みました」
まず決めたのは、電話の回数を増やすことでした。これまでは週に1、2回だった連絡を、短時間でも毎日行うことにしました。電話に出られなかったときは、折り返すことも約束しました。
ただし、電話だけでは十分ではありません。着信に気づけないこともあれば、茂さんのように、電話を手に取れない状況も考えられるからです。
そこで陽子さんは、緊急時にボタンを押して助けを求められる機器や、一定時間動きがない場合に異変を知らせる見守りサービスについても調べ始めました。自治体によっては、高齢者向けの緊急通報装置などを利用できる場合があります。
「今後は見守りサービスも利用したいと思っています。父は嫌がるでしょうが、何かあってからでは遅いので」
総務省消防庁『令和7年版消防白書』によると、2024年中の救急搬送人員は676万9,172人で、このうち65歳以上の高齢者は428万4,953人、全体の63.3%を占めました。高齢者の救急搬送は、決して珍しいことではありません。転倒などで動けなくなった場合、本人が自力で電話をかけられない可能性もあります。家族による安否確認に加え、緊急時に助けを求める手段を確保しておくことが重要です。