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「私にも相続する権利がある」…夫の死後、義妹から突然の連絡
2026年春、東京都内で会社員をしていた伊藤裕子さん(54歳・仮名)は、58歳の夫・直樹さん(仮名)を亡くしました。
夫婦に子どもはいませんでした。直樹さんは長く会社勤めを続け、退職を数年後に控えていました。自宅マンションのほか、預貯金や投資信託などを合わせると、財産はおよそ8,000万円。裕子さん自身も会社員として働いており、2人で老後の生活を考えながら資産を管理してきました。
ところが、葬儀を終えて間もなく、夫の妹から連絡が入ります。
「お兄ちゃんの財産のことなんだけど……私達にも相続する権利があるよね?」
裕子さんには、思い当たることがありました。直樹さんの両親はすでに亡くなっており、子どももいません。兄弟は直樹さんと妹の2人だけでした。
この場合、妻である裕子さんだけでなく、直樹さんの妹も法定相続人になります。
厚生労働省『2025年人口動態統計(確定数)』によると、2025年の死亡数は158万9,533人でした。相続は、亡くなった人の財産を誰が引き継ぐのかという問題です。相続人の範囲や財産の分け方は、家族構成や遺言書の有無によって変わります。配偶者がすべての財産を引き継げると思っていても、法律上はそうならないケースがあるのです。
裕子さんは、夫の妹と話すことにしました。
「きちんと手続きをするつもりです。ただ、夫がどう考えていたのかも大事だと思っています」
すると妹は、念を押すように言いました。
「でも、私にも権利があるんでしょう? 私にもちゃんと金よこしてよ」
裕子さんは否定しませんでした。実際、民法では、亡くなった人に子どもがおらず、父母などの直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。配偶者がいる場合は、配偶者と兄弟姉妹がともに法定相続人となります。
法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。今回のケースでは、妹にも法律上の相続分が認められる立場にありました。
ただし、裕子さんには1つ気になっていることがありました。直樹さんは、亡くなる数年前から「自分に何かあったときのこと」を気にしていたのです。
「俺に何かあったら、裕子が困らないようにしておきたい」
そう言って、休日に行政書士へ相談に行ったこともありました。当時、裕子さんは「まだ早いんじゃない?」 と答えたといいます。ところが、直樹さんはその後、公証役場で遺言書を作成していました。