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よくある争族理由…法定相続人ではない人が遺産協議の場をかき乱す
民法では、配偶者は常に相続人となり、子がいる場合には子も相続人になります。今回のケースでは、恵子さん、大介さん、愛さんの3人です。拓也さんは長女の夫であり、博さんの法定相続人ではありません。
法定相続分は、配偶者が2分の1、子ども2人がそれぞれ4分の1です。ただし、法定相続分は必ずその割合で分けるという意味ではありません。相続人全員が合意すれば、実家を誰が取得するのか、預貯金や株式をどう配分するのかなど、事情に応じて決められます。遺言書がなければ、基本的には相続人同士で遺産分割について話し合います。
ここで重要なのは、「公平」と「同額」は必ずしも同じではないという点です。たとえば、長年その家に住んできた母が今後も暮らし続けるのであれば、住居を確保することも相続を考えるうえで重要な要素になります。反対に、不動産を取得する相続人がその価値に見合う調整をする必要が生じることもあります。
相続人ではない親族が助言すること自体に問題があるわけではありません。家族の事情をよく知る人だからこそ、冷静な意見を出せる場合もあります。ただし、その意見が「こうしたほうがいい」から「こうすべきだ」に変わり、相続人の意思を押し切るようになれば、話し合いそのものが難しくなります。
「私がいけないんです。最初から『あなたは関係ないから』と、家族の話し合いに連れてこなければ、あんな修羅場にはならなかった……」
最高裁判所『令和7年 司法統計年報(家事編)』によると、家庭裁判所で認容・調停成立となった遺産分割事件(8,321件)のうち、遺産価額「5,000万円以下」が6,457件(約77.6%)、「1億円以下」まで含めると7,401件(約88.9%)を占めています。本件の5,800万円という資産規模も特別な富裕層に限った話ではなく、一般的なご家庭で紛争が起こり得る現実を示しています。
今回のように法定相続人以外の親族が意見を差し挟むと、感情的対立から話し合いは一気に紛糾します。無用な争族を防ぐためにも、生前の遺言書作成や、相続人同士で意向を直接共有しておく姿勢が不可欠です。