子どもの教育は未来への投資とはよく言ったもの。見返りを期待するわけではありませんが、お金をかけた分だけ稼げるようになってほしい――親の本音です。しかし親が思い描いたとおりになるとは限りません。ある親子の事例から、子への投資とサポートについて考えます。
ふざけるな!〈月収49万円〉47歳サラリーマンの父、思わず言葉を失った「一流私大4年生の長男」の衝撃決断の中身 ※写真はイメージです/PIXTA

自分の人生なら、自分で責任を取れ

私立大学の教育費も決して小さくありません。文部科学省の調査によると、2025年度に私立大学へ入学した学生の初年度学生納付金は、授業料や入学料、施設設備費などを合わせて平均150万7,647円でした。大学4年間では、授業料だけでなく、通学費や教材費などもかかります。家庭にとって、大学進学は長期的な支出です。

 

直樹さんも、長男の大学進学を「将来のための支出」と考えていました。だからこそ、「就職しない」という決断を聞いたとき、これまでの教育費が無駄になるように感じたのです。

 

ただ、話を聞くうちに、直樹さんの考えも少しずつ変わりました。長男は、単に働きたくないわけではありませんでした。「会社に入りたくない」ではなく、「自分で仕事をつくりたい」と考えていたのです。

 

そこで直樹さんは、条件を出しました。実家に住むのであれば、食費などの生活費を入れること。仕事の収入と支出を自分で管理すること。半年後、1年後など、期限を決めて状況を家族に説明すること。

 

「好きにしろ、とは言えません。でも、全部親が面倒を見るのも違うと思いました」

 

蓮さんも、その条件を受け入れました。大学卒業後の進路は、就職だけではありません。ただし、「夢がある」という理由だけで、親が経済的な責任まで負う必要があるわけでもありません。

 

「やりたいことをやるのはいい。ただし、自分の人生なら、自分で責任を取ってくれ」

 

直樹さんが伝えると、長男は黙ってうなずいたそうです。

 

日本政策金融公庫総合研究所『2025年度起業と起業意識に関する調査』によると、起業時の年齢は「29歳以下」が40.2%と最多を占めており、若年層の起業への挑戦が広がっています。

 

起業動機は「自由に仕事がしたかった」が51.7%で最も高く、費用面でも「なし」(32.2%)や「50万円未満」(29.4%)といった小規模起業が主流です。

 

一方で、起業の懸念点として「事業資金を失うこと」(74.8%)や「安定した収入を失うこと」(66.0%)が挙がっています。低資金で始められる活動を機に自立を目指す若者が増える中、親世代には子の主体的挑戦を尊重しつつ、生活面の自己責任を明確にする姿勢が求められます。