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暮らしていくのも困難… 無医地区等の拡大
地方における医療アクセスの厳しさは、統計データにも明確に表れています。
厚生労働省が公表した『令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査』(令和7年10月末現在)によると、医療機関のない地域で半径およそ4キロ以内に50人以上が暮らし、容易に医療機関を利用できない「無医地区」は全国で575地区存在します。前回の令和4年調査(557地区)から18地区増加し、無医地区人口も12万2,206人から13万4,753人へと1万2,547人増加しました。
また、歯科医療機関がない「無歯科医地区」は750地区(前回比34地区減)となったものの、その対象人口は19万6,640人(前回比7,993人増)と増加しており、医療や歯科医療へのアクセスに課題を抱える住民の規模は依然として大きい状況です。
高齢化に伴い自ら運転できなくなったり、近隣の支援に頼らざるを得なくなったりするなかで、医療機関から離れた地域に住み続ける負担は増しています。親が暮らす地域の医療確保状況や通院のしやすさを把握することは、現状のまま実家での暮らしを維持できるか、あるいは住み替えを検討すべきかを判断するうえで重要な指標となります。
家を所有していることと、そこで安心して暮らし続けられることは、同じではない――誠さんも、最終的には実家を売却し、洋子さんが医療機関や買い物先へ行きやすい場所への住み替えを進めました。洋子さんも、最初は複雑な思いを抱えていましたが、少しずつ新しい生活を受け入れていったといいます。
地方の高齢化や医療アクセスの問題、都市部へ移り、残る子世代の増加。これらが重なるなか、実家を「残すか、売るか」は、家族の思いだけで決められる問題ではなくなっています。
親が住み慣れた家を、誰が、どのように支えていくのか――実家問題は、不動産の処分だけではなく、高齢者が住み続ける場所をどう確保するかという社会全体の課題です。