非上場株式の売却に関する相談が絶えない背景
――株式会社喜望大地には、日々どのようなご相談が寄せられているのでしょうか?
喜 多:「両親から相続した」、「家業を長男である叔父が継いだが、自分たちの親は次男あるいは長女だったので、経営には全く関与していない」というケースが非常に多いですね。そのほか「すでに会社を離れ、株だけを保有している状態なので、何とか現金化したい」とか「相続したものの配当がないので売りたい」といったご相談も、多く寄せられています。
――そうなんですね、具体的に印象に残っているケースはありますか?
喜 多:ご兄弟経営でお兄様が社長と経理、弟様が専務と営業活動を担当されていらっしゃる会社がありました。実際に利益を上げていたのは弟様だったわけですが、お兄様の方が株を多く所有していました。しばらくしてお兄様が病気で亡くなられて、その息子様が株式も相続しました。その方は素行に問題があり、経営者としてふさわしい人材ではありませんでした。しかも経営権を行使して会社の成長に貢献した弟様(叔父)を解雇し、退職金を払わず、株も買い取らなかったのです。
弟様としたら兄と二人三脚でやってきて、多大な貢献もしたのに、甥に追い出された。長年の功績に対し不当な扱いを受け、株も持ち腐れになってしまったわけです。残念ながら「株式の議決権で、経営権は決まる」という事実を象徴するようなケースでしたね。
なぜ、会社に資産や利益があっても非上場株式は売れないのか?
――会社に資産があり、利益も上がっているのに、非上場株式を売却できないのはなぜですか?
喜 多:上場株式にはマーケットがあるので、売りたいときに売れる。つまり「流動性」があります。一方、非上場株式の場合は、利益を株主に還元しない会社が、圧倒的に多いのが現状です。上場会社の配当性向は3~4割、しかし非上場会社は配当を行わないケースが非常に多い。するとしても雀の涙程度です。それなのに会社に価値があれば、相続の際に税金がかかってくる。非上場株式は、保有メリットがないのに納税義務が生じるという、リスクだけが残る可能性のある資産です。
また発行会社側に買取義務がなく、株主は発行会社側に対し「買って欲しい」と依頼することしかできない。あくまでお願いベースなので、発行会社から「買いません」と言われてしまえば、それ以上買取を強制することができないのです。
――非上場会社が第三者株主を望まないケースがあるのはなぜですか?
喜 多:同族会社の場合、株主総会はおろか、取締役会すら開かない会社が多くあります。そしてよくあるのは、公私混同。会社の仕事をしていない妻や息子が、高級車に乗っていたりする。指摘する人がいないので、オーナー社長の思い通りに運営している傾向があります。
もし第三者が株主になると、おかしな点があれば「帳簿を見せてほしい」と言える。会社に損害を与えているようなことがあれば、株主代表訴訟を起こすことも可能です。役員はオーナー社長の指示通りに動いてくれるが、外部株主はそうではないため、オーナー社長の警戒心が高まるのでしょう。
渡 辺:会社を支配できない株主でも、会社の運営を監視したり、是正するための「少数株主権」を行使できますからね。例えば取締役会の議事録とか、計算書類を閲覧謄写する権利を行使すれば、会社運営を監視できます。また株主総会の議題提案権を行使することで、会社運営の是正を提案できます。さらには違法行為をする取締役がいたような場合に「株主代表訴訟提起権」を行使し、損害賠償を請求することも可能なのです。
――なるほど。だからこそオーナー社長は、外部株主を歓迎しないことがあるのですね。
非上場株式の売買における留意点:譲渡制限と発行会社の承認判断
――非上場株式の「譲渡制限株式」とは、どのようなものですか?
喜 多:譲渡制限と聞いて「勝手に株を売れないんだ」と思われる方が多いのですが、実はそうではない。株の売買自体は当事者間の合意さえあれば、自由に成立します。ただ売買しただけでは、株を取得した者は株主になれません。株式名簿を変えない限り、元の株主が株主のままなのです。
ですから買った側が「自分を株主と認めてください」と言う場合、「譲渡承認請求」という会社法に則った手続きが、必要となってきます。そこで会社側は「新たに株を買った者」を株主として認めるか、認めないかを判断する。取締役会や株主総会の決議で決める会社が多いですが、中には代表取締役の権限で判断できるようにしている会社もあります。いずれにしても買い手を株主として認めるか否かは、会社側が判断します。
渡 辺:喜多会長の仰る通り、譲渡制限付きの株式を売買するにあたって、あらかじめ会社に承認を得る必要はございません。ただ譲渡制限株式を導入している会社には「株主は会社と一定の信頼関係がある者に限りたい」という意向があります。このため譲渡後に「株主として認めるか否か」を会社側で選択できるのです。
買い手が見つからない非上場株式を所有する株主の救済に尽力
――株主が発行会社に株式の買取を申し入れた場合、会社には買取義務が発生しないんですよね?
喜 多:はい。買取だけでなく「いくらで買うか」も発行会社側と話し合いベースで決まります。国が定めた「相続税評価額」は相続時の税金を納付するために定められたルールであり、個人間の売買には適用されません。よくあるケースとしては「そのまま持っておいたらいかがですか」と、やんわり断わられる。また「買い取っても良いですけど、額面ですよ」と言われてしまう。昔は「額面500円」で設立した会社が非常に多かったので、現在は薄価純資産価額で1万円の価値がある株でも額面500円以上の値段では売却できないということになってしまうのです。
一方、会社側の理屈は「相続で引き継いだ株なのだから、いわばタダで手に入れたものだろう。私たちは人生を賭けて会社を運営している。その結果として会社が利益を生み、内部留保や純資産価値が高まった。でもそれは経営側の努力で、あなたは何の貢献もしていない」というものです。それゆえ「額面でしか買わないが、それの何が不満なのか」という考え方をされることが多いのでしょう。
渡 辺:会社法には「発行会社が株式を買い取る義務」が定められていないので、株主が「この価格で買い取って」と請求できないのです。ただ、会社を再編するようなタイミングで「株式買取請求権」が認められることもあります。そうした事例をインターネットなどで調べた方は「例え非上場株式でも、株式買取請求権があるのではないか?」と考えてしまいがちなんですが…、あくまで特殊なケースのみに、行使可能な権利なのです。
――会社に買取を断られた場合、株主はどのように対応すれば良いのでしょうか?
喜 多:今までは残念ながら、泣き寝入りするケースが圧倒的に多かった。そこで弊社・喜望大地はクライアント様から「非上場の株を現金化できませんか?」というご相談を受けた時に仮説を立て、会社法を研究しました。そして株主が会社側に「持っている株を、この人に売ってもいいですか」と譲渡承認請求するのではなく、弊社が「株主様と合意した価格で株を買い取ったうえで、弊社が譲受人として発行会社側に譲渡承認請求する」というスキームを確立したのです。
株主様ご自身で非上場株式を買い取ってくれる第三者を見つけるのは、非常に困難です。そんな中で弊社は「会社の価値を見出し、合意した価格で株を買い取る」というサービスを始めた結果、たくさんの方から、ご依頼いただくようになりました。ご相談から買取価格の算定、譲渡契約の締結に至るまで一切の費用はかかりません。将来、ご家族に高額な相続税負担が発生する前に株を現金化できる仕組みがあることを知っていただき、お困りの際にはぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。
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