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思わず吐露した「地方に住み続けることへの不安」
その日の夜、愛さんは両親に尋ねました。
「この家、これからも住み続けられそう?」
隆さんは、すぐには答えられませんでした。念願だった家です。退職金を使って購入したこともあり、「失敗だった」とは思いません。
一方で、一生住み続けられるかといえば、一抹の不安も残ります。
「車の運転がな……ちゃんとできればな」
さらに75歳まであと10年。たとえ車の運転に慣れたとしても、いずれは免許返納のタイミングが来るでしょう。車必須といえる地域で、70代、80代がどのように暮らしていくのか――まだ見えていない部分が多すぎます。
「もしかしたら、また東京に戻るかもしれないな」
両親の言葉に、「そのときになったら考えたらいいよ。せっかくだから、今はここでの生活を楽しみなよ」と愛さん。東京に戻ってくるならバックアップすると約束してくれました。
「これからは雨も落ち着くというから、秋冬野菜でリベンジしたい。せっかく移り住んだのだから、採れた野菜を食卓に並べるという夢を実現させたいんです」
また、自動車教習所でペーパードライバー講習を受けることにしたといいます。
「やはり、車を運転できないときついです。予想してなかった出費ですが、このまま引きこもっているわけにはいきません」
前出の同調査で「お住まいの地域で不便に思うこと」を聞いたところ、「日常の買い物に不便」(23.9%)や「医院や病院への通院に不便」(23.8%)、「交通機関が高齢者には使いにくい・整備されていない」(21.5%)が上位を占めました。
また、自家用車等を運転する高齢者のうち、「視力の低下などで支障を感じたらやめる」(41.6%)、「一定の年齢になったらやめる」(38.5%)と、約8割が将来の運転取りやめを意識しています。
自然豊かな環境への憧れだけで移住すると、加齢に伴う移動制限や買い物の壁に直面しがちです。10年後の免許返納や健康変化まで見据えた綿密な生活設計が重要となります。