親に十分な貯蓄があると、子どもは「少しくらい頼っても大丈夫」と考えてしまうことがあります。ところが、親にとって老後資金は、子どものために残しているお金とは限りません。ある66歳女性のひと言から、親子のお金の距離が浮かび上がります。
「毎日来てもいいのよ、でもね…」〈年金月17万円〉〈貯金2,200万円〉66歳母のひと言に、実家に入り浸る42歳息子が絶句 ※写真はイメージです/PIXTA

「2,200万円ある」からこそ、親子で決めておきたいお金の線引き

そんなある日、大輔さんがいつものように仕事帰りに実家へ行くと、由美子さんから突然言われました。

 

「毎日来てもいいのよ。でもね、お金くらい置いていきなさい」

 

大輔さんは、一瞬意味が分かりませんでした。

 

「えっ、お金?」

 

「ご飯も食べるでしょう。電気も水道も使うでしょう。たまには食材くらい買ってきて」

 

大輔さんは、母親が自分にお金を求めるとは思っていませんでした。

 

「母さん、貯金あるじゃん」

 

思わずそう言うと、由美子さんは少し間を置いて答えました。

 

「そのお金は、あなたのために貯めたんじゃないのよ」

 

大輔さんは何も言えなくなりました。由美子さんが問題にしていたのは、1回の夕食代だけではありません。これまで何度も息子に食事を出し、家の設備を使わせ、車を貸してきました。それを「親子だから」と受け入れているうちに、大輔さんの生活の一部が実家に移っていたのです。

 

「最初は1万円くらい渡せばいいと思っていたんです。でも母から『金額を決めるより、自分で食べるものは自分でも負担しなさい』と言われました」

 

由美子さんは現在も、大輔さんに「毎日来てもいい」と言っています。ただし、その言葉には続きがあります。

 

「来るのはいい。でも、自分の生活は自分でやってね」

 

国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』によると、18~34歳未婚男性の65.9%が親と同居しており、社会人となっても親の生活基盤に依拠するケースは珍しくありません。また同研究所『第9回世帯動態調査』では、65歳以上の高齢者が子と同居する割合は男性37.5%、女性42.8%となっています。

 

親の預貯金や年金は、自身の将来の医療・介護や老後生活を守るための大切な資金です。「親子だから」と経済的負担をあいまいにせず、食費や光熱費などの線引きを事前にルール化しておくことが、お互いの自立と円満な関係を維持するために不可欠といえます。

 

 

【注目のセミナー情報】​​​

【資産防衛】10月14日(水)オンライン開催
約30年ぶりの世界的金利変動が生み出した
新たな「お宝保険」の全貌

 

【国内不動産】10月17日(土)
実質利回り15%前後を狙う「トランクルーム投資」とは?
住宅価格・家賃高騰で高まる「収納ニーズ」