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「孫の喜ぶ顔が見たいから」ではなく「孫が頑張ったから」
孫が生まれてから、あらゆることが“孫”を中心に考えてきました。孫も「おじいちゃん、おばあちゃん」と慕ってくれる――まだ小さいのだから、当然のことだったのかもしれません。
しかし、孫も成長するに従い、“いつもべったり”というわけにはいきません。佐藤さん夫婦も“孫離れ”を考えないといけないタイミングでした。
そして、孫のためと取り分けていたお金についても考え直しました。すべてを孫のためにと残すのではなく、老後の生活に必要な資金を確保したうえで、一部は夫婦自身のために使うことにしたのです。
最初に始めたのは、夫婦2人での外出でした。以前から興味があった美術館へ行き、少し遠い場所にも足を延ばしました。これまでなら「孫と一緒に行ける機会ができたら」と考えていた場所です。
「孫のことは横に置いておいて、私たち夫婦がしたいこと、行きたいことを優先するようにしました」
その一方で、孫との付き合い方も変わりました。
振り返れば、会えば最終的に“何かを買ってあげる”というのがお決まりのパターンになっていました。別に孫からおねだりをされたわけではありません。「孫が喜んでくれる(だろう)」と考えて、自ら「じいちゃんが買ってあげる」と申し出ていたのです。
その代わり、「大会で優勝した」「定期テスト、頑張って順位が上がった」――努力に対して、常識的な金額でお小遣いをあげるようにしました。
「理由があれば、あげるほうも、もらうほうも、納得できる。次の努力にもつながりますよね」
そう、心に決めたものの、孫のことをまったく考えないというのは難しいといいます。
「やはり、可愛いですから、孫は。無理に我慢することはない、将来、孫のためにと、大金を払ってあげてもいい。ただ無理だけはよくないということだけ、決めています」
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、今後優先的にお金を使いたい項目として「趣味やレジャー(旅行等)」と答えた人が32.4%にのぼり、「子や孫のための支出」の25.8%を上回っています。また、将来的な財産の使い道についても「財産は自分のために使いたい」と回答した人が33.0%を占めています。
孫への過度な援助や貯蓄に縛られるのではなく、まずは自分たちの老後資金をしっかり確保すること。そのうえで、自分たちの趣味や夫婦の時間に資産を活用していく姿勢こそが、孫との好ましい関係性と距離感を保ちつつ、心豊かなセカンドライフを送る鍵となりそうです。