(※写真はイメージです/PIXTA)
教育費の「過剰投資」
調査データを見ても、子ども一人を大学まで通わせるための費用は年々増大しています。文部科学省『令和6年度 学校基本調査』によると、大学・短期大学・高等専門学校等への進学率は87.3%と過去最高を記録しており、高等教育への進学はほぼ当然ともいえる選択肢となっています。日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果(令和3年度)」によれば、高校まで公立、大学は私立(または国公立であっても自宅外通学)へ進学した場合、入学光熱費や生活費の仕送りを含めた総額費用は平均942万円です。
しかし、どれほど手塩にかけて育て、高学歴や高収入の職業に就かせたとしても、それが親自身の老後の安心に直結するとは限りません。現代社会においては価値観の多様化が進んでおり、子ども自身が親の期待する「安定した高収入キャリア」を捨て、社会貢献や自己実現、起業といった自らの意思に基づく道を選択することはごく自然な流れです。むしろ、親からの過剰な期待や金銭的な見返りへの圧力を重荷と感じた子どもほど、精神的・経済的に親から距離を置こうとする傾向すら見られます。
教育費を「将来自分たちを養ってもらうための投資」とみなす思考は、子どもにとっても重圧となるばかりか、親自身の老後生活を直接的な破綻リスクに晒すことになりかねません。定年が目前に迫る50代後半になってから老後資金の不足に気づいても、限られた時間で十分な貯蓄を再構築することは困難です。
子どもへの教育支援と自分たちの老後資金確保のバランスを冷静に見極め、自立した老後生活を自力で送れる基盤を整えておくことこそが、結果として子どもに将来的な負担をかけないための親としての本当の責任といえるのではないでしょうか。
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